24年ぶりの社内デザイナー募集!ダイヤモンド社の書籍制作を支える仕事

ダイヤモンド社の書籍編集局 書籍制作部では、いま中途採用で書籍の「デザイナー 兼 制作管理ディレクター」を募集しています(詳しい募集要項はダイヤモンド社の採用情報ページおよび「デザインのお仕事」「Job by 美術手帖」をご覧ください)。

そこで、書籍制作部で働く先輩社員に仕事内容、職場の雰囲気、一緒に働きたい人材像などについてインタビューしました。ダイヤモンド社が社内デザイナーを正社員として募集するのは24年ぶり。記事を読んで、ベストセラー書籍を一緒に生み出したい!と思われた皆さまは、ぜひともご応募ください。
応募〆切は「2021年10月5日(火)」です(9月3日13時更新)。

制作管理とデザイン
2つの業務を担う調整役

――今回、採用を行なっている書籍制作部は、どんな部署でしょうか?

布施育哉(以下、布施) 書籍制作部は、書籍の制作進行を管理する部署で、仕事は大きく分けると、「書籍制作の管理」と「デザイン関連業務」に分かれます。「書籍制作の管理」というのは、本ができるまでの印刷、製本、加工といったすべての工程の進行、品質、コストなどを管理する仕事です。

24年ぶりの社内デザイナー募集!ダイヤモンド社の書籍制作を支える仕事布施育哉(ふせ・いくや)
書籍編集局書籍制作部 副部長
美術大学のデザイン科を卒業後、キャラクター制作などを行う会社に就職、グリーティングカードの企画・デザインを行う。1997年、ダイヤモンド社入社。趣味は読書で、好きな分野は児童文学。

 ダイヤモンド社の場合、制作の実務を担うのはダイヤモンド・グラフィック社という関連会社なのですが、書籍制作部は制作を統括する立場として全体を把握しながら、主に編集者とダイヤモンド・グラフィック社との橋渡しをする役割を担っています。

――「デザイン関連業務」はどのような仕事でしょうか。布施さんは、社内デザイナーとしても活躍されていますよね。

布施 主な仕事は、書籍の本文や装丁といった紙のデザインと、書籍に関するWeb記事等で使用する画像、その他販促物のポスターやチラシなどの制作と、出版にまつわるデザイン全般をやっています。

 最近増えているのが、アマゾンの「A+(プラス)」の制作ですね。A+というのは、アマゾンの商品紹介コンテンツのことで、書籍の特徴やセールスポイントを視覚的にわかりやすくまとめた画像です。アマゾンで書籍の紹介ページを見ると内容を紹介する複数の画像が出てきますが、あれですね。A+の内容次第で、書籍の魅力の伝わり方も大きく変わるので、この画像を編集者と相談しながら一緒に作っています。

24年ぶりの社内デザイナー募集!ダイヤモンド社の書籍制作を支える仕事アマゾンのA+の画像

――今はオンラインでの販促に力を入れる編集者が増えていますね。ダイヤモンド社は「書籍オンライン」というメディアも持っています。

布施 そうですね。書籍オンラインの記事に使うバナー画像も作ることがあります。例えば、書籍編集局が運営する「だから、この本。」という著者インタビューのコーナーがあるのですが、ここで使われている画像は私が作らせてもらいました。

24年ぶりの社内デザイナー募集!ダイヤモンド社の書籍制作を支える仕事「だから、この本。」の画像

――書籍の装丁はどのようなものをやられていますか?

布施 代表的なものだと、「ドラッカー名言集」シリーズ、『[新版]競争戦略論』などですが、最近では『エディー・ジョーンズ わが人生とラグビー』という翻訳書の装丁を担当させてもらいました。原著のインパクトを保ちつつ、そのままでは少し日本のマーケットには合わないということで、私のところに依頼がありました。10案ほど装丁案を提出し、編集者と相談しながら決めました。

24年ぶりの社内デザイナー募集!ダイヤモンド社の書籍制作を支える仕事装丁を担当した書籍(一部)

『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』も翻訳書ですが、原著者の意向で元のデザインを崩さないように日本語版を作る必要があり、編集者から依頼されました。原著のイメージを活かしつつ、日本の読者が手に取りやすいようにデザインしています。

 同じ社内にいると編集者と密にやり取りできるので、こうした細かい調整が必要な案件の受け皿になることも多いですね。ダイヤモンド社の場合、デザインの仕事は、制作管理の業務をしっかり行なう前提でかなり自由にやることができます。

社内デザイナーだから感じられる
文化祭のような一体感

――外部のデザイナーと社内のデザイナーには、どんな違いがありますか?

布施 社内にいることで、編集者のこだわりや情熱、そして1冊でも多く売りたいという営業部の思いを、ダイレクトに感じることが出来るのがとてもありがたいです。その思いを知ることで、制作管理&デザイナーの立場でやるべきことがよく見えてくると感じています。

 また、外部のデザイナーの方たちの素晴らしいデザインをよりよい形で世の中に送り出すために、お手伝いをさせていただいているという意識があります。ですので、外部デザイナーに腕をふるってもらえるような環境を整えるのも、社内デザイナーの意義だと思っています。

――社内デザイナーならではの仕事もありますか?

布施 例えば、池井戸潤先生の『ノーサイド・ゲーム』が発売されたとき、丸の内に「池井戸カフェ」というポップアップショップができました。そのときの看板は締め切りがタイトだったのですが、巨大な看板になって丸の内に飾られているのを見たときには感激しました。池井戸先生もとても喜ばれたと聞いています。

24年ぶりの社内デザイナー募集!ダイヤモンド社の書籍制作を支える仕事「池井戸カフェ」に設置された看板

 様々な事情から急に販促物を作ることになったとき、担当者は非常に困ると思います。でも、社内の関係者で力を合わせてアイデアを練り、限られた時間で話し合いながら一緒に作り上げる喜びも大きいです。時には締め切りが厳しいこともありますが、こういう一体感を感じられるのが、社内デザイナーの醍醐味かもしれません。

――確かに、みんなで力を合わせて最初から最後まで作り上げる感じがありますね。

布施 販促物は書店での売り方に合わせて作るので、柔軟な対応が求められます。例えば、児童書の『東大教授がおしえる やばい日本史』は、最初に数店の書店さんでフェアをすることが決まっていたのですが、その後営業部の働きかけのおかげで、参加してくれる書店さんがどんどん増えていきました。

 そこでポスターだけじゃなく、新たに来店した子供のためのスタンプカードを作ろう、プレゼントも作ろうと話がひろがっていきました。次々と編集者や営業部からアイデアが出てきて、それに応えながら拡材を新しく作っていきましたが、どこか文化祭っぽい楽しさがありました。皆さん本当に熱心なので、それに合わせてデザイナーとしても柔軟な対応が求められます。

24年ぶりの社内デザイナー募集!ダイヤモンド社の書籍制作を支える仕事『東大教授がおしえる やばい日本史』の販促物

――文化祭っぽい楽しさですか。1アイテムデザインして終わりではなく、制作から販促まで柔軟に関わるということですね。

布施 はい。ただ逆に言えば、そういう突発的な仕事が苦手な人はあまり向いていないかもしれません。社内デザイナーは、一人で黙々と作り込むタイプより、コミュニケーションが好きなタイプの人が向いていると思います。複数の部署やプロジェクトにまたがって仕事をすることが多いので、コミュニケーション能力はとても重要だと思います。

他の仕事へのリスペクトと
相互の信頼関係があってこそ

――コミュニケーションは、「制作管理」の仕事でも、かなり求められますよね。

布施 そうですね。印刷、製本、加工などの品質は、刷り出しや見本で確認しますが、問題があればダイヤモンド・グラフィック社と話し合って改善策を見つけることになります。同社のメンバーがとても優秀なのでいつも助けられています。

24年ぶりの社内デザイナー募集!ダイヤモンド社の書籍制作を支える仕事刷り出しで印刷の品質を確認

 なんらかの事故が起きれば、再発防止策を考え、ダイヤモンド・グラフィック社だけでなく、編集部や営業部ともやり取りして対応していくことになります。書籍制作部の仕事は、たくさんの方とのコミュニケーションで成り立っています。相互の信頼関係がないと難しいので、常に相手の業務に敬意と感謝の気持ちをもって仕事をしています。

――印刷や加工などの専門的な知識も必要ですか?

布施 入稿から印刷・製本・加工まで、間に立って技術的な話をすることも重要な仕事なので、今は知識がなくても、いずれは身につける必要があると思います(もちろん丁寧にお教えするので安心して下さい)。

 例えば、外部のデザイナーさんからハードルの高い加工や印刷を希望されることがたまにあります。そのときに、実現性について知識の裏付けをもって話し合う必要があります。より良いものを作ろうという思いは双方同じでも、知識がないまま話すとなかなか折り合いがつかないですよね。

 そして、どんなに難しい加工や造本が提案されても、まずは可能性を探ることを心掛けています。頭から無理だと決めつけないように、外部のデザイナーの方や編集者の意図をくみながら仕事を進めることを大切にしています。その意味では、新しい技術の習得を怠らないことも大切ですね。

書籍制作部は
よろず相談所のような部署

――ダイヤモンド社の職場の雰囲気はどうでしょうか?

布施 書籍編集局は、優秀な編集者がものすごくたくさん集まっていると思います。しかも情報交換が非常に盛んで、いつも知的な活気があると感じています。定期的に編集者が行なう社内勉強会があり、私も時々参加しているのですが、ほかでは聞けないような本作りのこだわりが聞けることはデザイナーにとっても得難い経験です。

 また、大台の部数を突破したような人がいると、みんなでお祝いをし合うようなカルチャーもあります。部内でサプライズのケーキやプレゼントを用意して、私がそのデザインをこっそり頼まれることもあります。以前、『独学大全』が20万部を突破したときのお祝い会でクッキーをデザインしたことがあるのですが、著者の読書猿さんがとても喜んでくださって、Twitterにアップしてくださったことがありました。私もとても嬉しかったですね。

24年ぶりの社内デザイナー募集!ダイヤモンド社の書籍制作を支える仕事『独学大全』20万部突破のお祝い会のために作ったクッキー(読書猿さんのTwitterの投稿より)

――書籍制作部の雰囲気はどうですか?

布施 書籍制作部も編集部と同じフロアですが、いわば、よろず相談所みたいなところだと思います。デザインと制作に関することなら、みんなが気さくになんでも相談しに来てくれます。

 変わった加工や造本についての相談だったり、新しい外部のデザイナーさんやイラスレーターさんを紹介してほしいという相談も多いですね。フランクに相談し合える環境なので、風通しのいい職場だと思います。

本好き、来たれ!
本が生まれる全工程に関われる仕事

――書籍制作部で働くには、どんな人が向いていると思いますか?

布施 本が好きであることが、とにかく必要だと思います。書籍が生まれるまでの工程を最初から最後まで見ることができるので、その過程に参加できることを面白がれる人、やりがいを感じられる人が向いていると思います。

 それと、誰とでもコミュニケーションが取れる人でしょうか。本作りにさまざまな形でたずさわる仕事なので、仕事の多くはコミュニケーションで成り立っています。

 逆に向かない人は、デザインだけをやりたい人。書籍制作部では制作管理の業務に対応するのはマストです。そのうえでデザイン業務も行なっていただきます。デザイン業務は、その人の力量次第で増えていく可能性がありますが、それだけをやる部署でないことは理解して下さい。二つの仕事を行なう少し特殊な立場ですが、バランスを取りながら進められると、とても面白いと思います。

――最後に、どんな人に入社してほしいか教えてください。

布施 何より誠実な方で、人とのコミュニケーションが好きな方、本作りとデザインに関して高い好奇心をお持ちの方に来てほしいです。そして、新しい技術修得にも熱心な方であればなお嬉しいです。ご応募よろしくお願いします。

(終わり)

※具体的な募集要項はダイヤモンド社の採用情報ページをご覧ください。
※また「デザインのお仕事」「Job by 美術手帖」にも詳しい情報が掲載されています。
※応募〆切は
「2021年10月5日(火)」です。