米国の雇用拡大が8月に鈍化したことで、連邦準備制度理事会(FRB)が次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で金融緩和策の縮小(テーパリング)に着手するというシナリオに水が差されたようだ。ただ、雇用は堅調に推移しており、FRBが年内に債券購入額の減額を始める可能性はまだ残されている。前回7月27~28日のFOMCでは、当局者が年内の緩和縮小開始を視野に入れていることが示唆された。その後発表された7月の雇用統計が好調だったことから、一部の連銀総裁から、9月のFOMCで月1200億ドル(約13兆2000億円)の債券購入の減額を決めるべきとの声が出始めた。ただ、それは新型コロナ変異ウイルス「デルタ株」の感染が拡大する前のことだった。その後、多くの州で感染者数と入院者数が数カ月前の水準に逆戻りした。その結果、8月は雇用の伸びに急ブレーキがかかった。