転機はイギリスのEC加盟
一方、2010年では中国や日本、韓国、インドといったアジア諸国への輸出割合が高くなっています。下図を見てください。
1973年のイギリスのEC(当時)加盟をきっかけに、オーストラリアは方針を転換。「白豪主義」に関する諸制度を撤廃して、「多文化主義」を採用します。
さらに1989年にはホーク首相(当時)の提唱でAPEC(アジア太平洋経済協力会議)を発足させ、近隣諸国との関係強化を図るようになりました。
資源輸出国として君臨する
オーストラリアは先述のように、鉱産資源の国内利用が難しく、これらの多くが輸出されます。資源小国である日本や韓国、経済成長著しい中国やインドではこれらの需要が大きく、オーストラリアに依存しています。
地理的位置・輸送コストから考えて、日本はオーストラリア以外の国から鉄鉱石や石炭の輸入を拡大させるのは難しいでしょう。
そして、オーストラリアの人口が今後急増することは考えにくいので、これからも資源輸出国としての存在感を持ち続けるでしょう。
リチウムの産出国でもある!
そして今後は電気自動車の開発・普及が進んでいくと考えられます。そのためバッテリーに使われるリチウムの需要が高まるのは間違いありません。
「石炭は掘るな! リチウムを掘れ!」
オーストラリア国内の環境保護主義者たちの声は日増しに大きくなっています。オーストラリアは世界最大のリチウム産出国で、実質オーストラリアだけでしか採掘されていないといっても過言ではありません。
今後、電気自動車に参入する多くの国が供給地としてのオーストラリアを重要視するでしょう。電気自動車の普及が進めば進むほど、「リチウムの安定供給」が課題となりますが、2023年には需要が供給を上回ると考えられています。
(本原稿は、書籍『経済は統計から学べ!』の一部を抜粋・編集して掲載しています)