ワクチンを接種しなかった社員はクビ!?

 その言葉に一同がうなずくのを見ながらA社長は続けた。

「そこで、社員全員に新型コロナワクチンの接種を義務化したいと考えている」

 A社長の提案を聞いたB部長が質問した。

「しかし……まだワクチンの供給が追い付かず、接種したくてもできない社員もいます。それについてはどうお考えですか?」

「そこは私も承知している。だから今年中に1回接種を終了すればOKとする。また、病気など特別な事情で接種ができない社員は申し出があれば免除する」

 B部長の質問は続いた。

「もし社員からワクチン接種を拒否された場合はどうするんですか?」
「接種は業務命令として行うので、理由もなく拒否した場合はクビにする」

 A社長が放った「クビ」の言葉に、一同がどよめいた。その後、A社長は下記の業務命令を出し、B部長に翌日中に全従業員に周知するように言った。

<A社長から全社員への業務命令の内容>
(1)社員は年内中に全員、新型コロナワクチンを最低1回以上接種すること。
(2)ワクチン接種を終了したら、接種したことを証明できる書類等のコピーを会社に提出すること。
(3)本人の疾患や接種の予約が取れないなどの理由でワクチン接種ができない場合は、会社所定の理由書を提出し、会社の指示に従うこと。
(4)(3)の手続きをせずに、年内にワクチン接種をしなかった場合は、令和4年1月中に会社を解雇する。

 最後に、A社長は笑いながら言った。

「年内にワクチン接種を終了し届け出た社員には、来年1月中に会社より高級ブランド和牛のすき焼きセットを自宅に送付します。ですからぜひ、皆さんからも部下にワクチンの接種を勧めてください」