ただ、株式投資初心者でもとっつきやすいアプローチは、どちらかといえば、マーケットアプローチです。マーケットアプローチは倍率表示をするバリュエーションなので、簡単に扱えます。

 ということで、まずは、マーケットアプローチから見ていきましょう。

マーケットアプローチには
どのようなものがあるのか

 マーケットアプローチとしてよく使うものとしては、主に以下の4つとなります。

 PERPBRPSREV/EBITDA

 まずは、これらから見ていくことにしましょう。

PERの基本的な考え方

 PERはプロアマ問わず、最もよく使われるバリュエーションではないでしょうか。その理由はシンプルで使いやすいからです。

 PERの算出式は以下の通りです。

 PER=株価÷1株当たり当期純利益 ……(1)

 たった、これだけです。

 株価はすぐに手に入ります。1株当たり当期純利益も、実績値を使うか予想値を使うかはありますが、入手はそれほど困難ではありません。予想値といわれるとびっくりするかもしれませんが、自分で予想する必要もなく、多くの上場企業が自社の当年度の業績予想を開示しているので、それらを使うことが可能です。

 このPERは、単位として「何倍」というように表示されます。「何倍ってなんだよ」という方もいるかもしれませんが、企業が1年で稼ぐ利益(税金を支払ったあとの最終利益)で見ると、今の株価は何年かかって回収できるか、というようにも見ることができます。

 たとえば、PERで10倍であれば10年ですし、20倍であれば20年というように考えることができます。この考え方でいけば、10年で回収できるほうが20年で回収するよりも早いので、株価が安いと見ることができます。

 日本株全体でいえば、日本経済や株式市場の状況次第ではありますが、ならしてみると13~16倍程度のレンジでPERは推移してきました。先ほどの(1)の式を参考にすれば、企業が計上する1年当たりの最終利益(税金を支払ったあとの利益)の13~16年分が株価としてついていたということになります。