中国の不動産大手、恒大集団が経営危機に陥っている。中国を代表する大企業のニュースとあって、国内外で大きな関心を集めている。また、中国では長年、不動産価格は上昇を続けてきた。「不動産」は中国人にとって、非常に重要な財産である。それだけに、今回の騒動が不動産市場に与える影響を危惧する声が少なくないのだ。今回は中国ならではの特殊な「不動産事情」について紹介する。(日中福祉プランニング代表 王 青)
恒大経営危機で高まる
「不動産バブル」崩壊の懸念
ここ数日、中国の不動産大手、恒大集団の経営危機問題について日本でも大きく報道されている。同社の負債額は1兆9700億元(約33兆4000億円)に上り、フィンランドの年間GDPを超えるほどの額であるといわれている。そのため、世界の主な金融市場で株価が一時急落した。当然のことながら、中国国内ではこの話題が大きな関心を集め、SNSでさまざまな意見が飛び交っている。
不動産は、常に中国人の生活の中心である。中国人民銀行の調査によれば、都市部に住む世帯の住宅保有率は96%に上るという。多くの中国人は、持ち家にこだわり、その方が「安心」だと考えている。それだけに、多くの人が今回の経営危機騒動に高い関心を持って、行く末を見守っている。
急速な経済成長を遂げた中国。これに伴い、都市部への人口流入が活発化した。そうした影響が、都市部の不動産価格を押し上げている。20年前に500万円で買ったマンションが、今では1億円を超えているというケースも決して珍しくない。20倍の価格上昇である。今、北京や上海などの都会では、築20年以上のボロボロのマンションでも1億円は下らない。ほかの投資手段に比べて、不動産投資はお金持ちになる一番近道であることを歴史がはっきりと証明しているのだ。