フォーカス・インタビューが重要な2つの理由とは?フォーカス・インタビューが重要な2つの理由とは? Photo:PIXTA

スターバックスやザ・ボディショップなどでCEOを務めた岩田松雄氏。岩田氏は、人と人のつながりが希薄になるコロナ禍の今、企業にますます重要視されているのが「ミッション」であると説く。中堅社員や幹部との1対1の面談(Focus Interview)が重要である2つの理由とは?そして表向きの目的ではない隠れた目的(Hidden Agenda)とは? 多くの有名企業で実績を残してきた岩田松雄流の経営哲学を伝授する。

「社長の仕事」と「社長以外の仕事」
これほど違うのか!

 私は、43歳で初めて経営者になりました。「プリクラ」や「女神転生」で有名なアトラスという会社です。

 取締役社長室長を経て、創業オーナーの会長のもとで、社長を務めることになりました。それまでは、役員経験はあったものの、トップとしての経験はありません。このときに、「社長の仕事」と「社長以外の仕事」がこれほど違うのか、ということを痛感しました。

 社長として最初にやらなければいけないのは、「会社の全体像を理解する」ことです。

 このときに役立ったのが、コンサルティング会社での経験でした。コンサルタントは、クライアント企業の現状(As-Is)をつかみ、いろいろな手法を使いながら、課題(Issue)を抽出し、それに対しての改善策(Solution)を提案していくことが仕事です。これを通常は、3カ月という短期間で行います。

 この経験を生かし、社長就任後、まずは業界関係の書籍、業界紙、社内資料など、関連する資料を読みあさりました。社内の関係者に何十人もインタビューをして、課題を抽出し、改善に向けた提案をまとめていきます。

 通常、こうした提案書は、エグゼクティブサマリー(結論)、PEST(Politics, Economy, Society, Technology)分析、3C(Customer, Company, Competitor)分析、SWOT(Strengths, Weaknesses, Opportunities, Threats)分析、戦略仮説の設定、戦略オプションの評価、戦略(仮説)提案、ネクストステップ、実行スケジュールで構成されています。最終的にそれが、会社のミッションや価値観(Value)と整合しているか確認します。

 ひとつだけ、コンサルタントの提案書と大きく異なるところがあります。