「今のままが一番幸せのような気すらします」
母がひそかに悩んでいたこと

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【年長】
5/5 今週から幼稚園が本格的に始まりますね。娘は、自分の思っていることをなかなか言葉にできない性格です。私としては、その点が一番の心配ごとです。せめてあと1年で、元気に挨拶ができるようになりますように。
6/1 保育参観の日に、泥だらけになって遊んでいる姿を見て嬉しく思います。なんだか年長さんになってから生き生きしているようで、毎朝はりきって家を出ていきます。たとえ泥だらけになっても元気いっぱい遊んでくれることが、私にとっては大きな喜びです。
7/7 園の階段をのぼっていくときは、情けないほど心細い表情で、何度も振り向きながらバイバイをする子でした。親の私はそれが歯がゆくて、どうして元気よく「おはようございまーす!」と入っていけないのかと、じれったい思いをしていました。今は、「先生に昨日つくったネコちゃんの縫い物をみせるんだ!」と言ったり、お泊り会も楽しみにしていて、パジャマをつくってとせがまれています。
30年前に母が書いた幼稚園の連絡帳を読んだら、共感の嵐だったPhoto by Yukina Hara
12/9 クリスマスページェントの練習が始まって、とても張り切っています。「ガブリエルの役になれてうれしい」と言いながら、歌ったり踊ったりの毎日で、妹もすっかり覚えてしまいました。「一番前で、マイクで歌いたいの!」……以前に比べて、なんと積極的になったことでしょう。
2/3 園生活も、残すところ1ヵ月余り。なんだかこのままずっと幼稚園児であってほしい気もします。小学校へ行けばいろいろなしがらみもあるだろうし、今のままが一番幸せのような気すらします。
卒園まであとわずかとなった今、このまま元気で登園してほしいということと、もうひとつ気がかりなことがあります。娘の祖母(私の母)が現在入院中で、重体です。娘にとっては、たった一人のおばあちゃんです。おそらく出席は無理でしょうが、なんとか入学式を見せてあげたいと願っています。
3/14 先生、最後に……1年間、本当にありがとうございました。小学校でも、娘の表面に出にくい性格を理解してくれる先生にめぐり逢えたらと思います。
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 幼稚園時代の私、なんて息子とそっくりなんだろう。

 息子の口ぐせは、「きょう、幼稚園お休み?」「きょう、お弁当?」のふたつ。毎朝泣いて嫌がることはないものの、「おうちのほうが好き」と言う。理由をたずねても、首をかしげるだけだ。

 私はそれを、息子の個性だとわかりつつも、ただ元気にニコニコと登園してくれる、それだけで十分なのに……ともどかしくも感じていた。

 実は30年前、母も同じことで悩んでいたのだ。