岸田文雄新総裁Photo:Anadolu Agency/gettyimages

岸田新総裁で
強まるリベラル色

 100代総理大臣に岸田文雄氏が就任することが決まった。今回の自民党総裁選は近年にない盛り上がりを見せ、候補それぞれのキャラクターだけではなく、政策論争にも注目が集まり、SNSなどでもその評価について熱い論戦が繰り広げられ、それぞれの人たちが推す候補、あるいは評価しない候補について大量の書き込みがされた。

 岸田氏はリベラル派の河野太郎・野田聖子氏と、保守派の高市早苗氏のそのちょうど中間に位置する「中間派」と言っていいだろう。保守的な立場ながら数多くのリベラル政策を実現して長期政権となった安倍晋三政権とも重なる部分が多いが、再分配に力を入れていく方針にある点で、さらにリベラル色が強まる可能性が高い。

 ただ、新政権が対処すべき課題は、格差是正だけではない。目下の新型コロナウイルスの対策だけではなく、少子高齢化、安全保障、経済成長の鈍化などいくつもの重要問題が立ちはだかっており、いずれも長期的な視野に立って地道に政策を重ねていくしかない。

 その中でも喫緊の課題として重要になってきているのが安全保障問題である。特に日本の同盟国であるアメリカが対中包囲網を進める中で、日本が中国にどのように対峙(たいじ)していくべきかについては、保守・リベラルの区別がつけられない重要問題である。