一方、レーシック手術を受けると老眼になりやすいというのは単なる噂にすぎないが、レーシックで視力がよくなることで老眼の症状を自覚しやすくはなるという。

 また、緑内障の経過観察や白内障の手術にも影響が出る。緑内障や白内障と思われる症状が出て診察を受ける際には、レーシック手術を受けていることを申し出ること、レーシック手術前のデータを保存しておくこと、レーシック後の白内障手術の経験が豊富な病院を選ぶことが必要だ。

ICLとは何か

 ICL(Implantable Contact Lens※、眼内コンタクトレンズ)は、その名前が表す通り、レンズを目の中に入れる視力矯正のインプラント手術のことをいう。一度入れると取り外す必要がないため、「永久コンタクトレンズ」と呼ばれることもある。角膜を3mmほど切開して虹彩と水晶体の間にレンズを挿入するが、角膜の傷は自然に治癒するため角膜の形状がほとんど変わらないのが特徴だ。

※「Implantable Collamer Lens」の略称をICLとする表記もある。「Collamer」はレンズの素材名

ICLの最大のメリットは「可逆性」

 角膜を削るレーシックに比べて、眼内コンタクトレンズを挿入するだけであるICLは近視の戻りやドライアイが起きにくく、見え方の質が高い。とはいえ、見え方に満足できない場合や白内障の手術をするためにレンズを取り出したいケースも起こり得るだろう。その際にはレンズを取り出して元の状態に戻すことが可能だ。この「可逆性」がICLの最大のメリットである。

 また適応範囲が広く、「近視が強すぎる」「角膜が薄い」などレーシックでは適応外となってしまう人でも手術可能だ。老眼用のICLも開発されており、欧州ではすでに認証を得るなど適応範囲をより一層広げるべく進化している。ただ、日本ではまだ厚生労働省の認可が下りていないため、老眼年齢になる40歳以降はICLを受けるのかどうか慎重な判断が必要になる。

ICLのデメリット

 ICL治療を受ける上でネックとなるのが費用の高さだ。レーシックとICLはどちらも保険適用外だが、両眼でレーシックは約10万~40万円、ICLは約45万~75万円辺りが相場となっている。使い捨てのコンタクトレンズやケア製品を数十年にわたって使い続けることを考えれば必ずしも高いとはいえないが、安価でないことは確かだ。