世界最長の橋はなぜ交通量が増えないのか 

 交通量が増えない最大の原因は、海上橋を利用するには中国本土と香港の両方の運行ライセンスを保有する車両しか認められないということにある。

 橋の建設が始まる前から「開通後、利用率が低い可能性が大きい」という心配の声があった。「中国本土と香港の両方から認可されたナンバープレートをもつ車両は、数万台にすぎない。物流目的での利用がまったく広がらなくなる」と指摘されていた。開通後、半年間の統計によると、通行車両の53%が自家用車、42%が観光バスやシャトルバス。トラック利用はわずか5%程度にすぎない。3年たった今でも、劇的な改善は見られていない。

 交通量を思うように増やせないもうひとつの原因は、その橋の構造にある。地図から見ると、港珠澳大橋はYという文字を左へ倒したような形になっている。2本の脚の方はそれぞれマカオと珠海につながっている。残りの1本は香港に連結している。広東省では、この設計は「シングルY型」と呼ばれている。

 そこで、今年10月に入ってから、広東省発展・改革委員会は、「広東省総合交通運輸体系『第14次5カ年計画』発展計画」を発表した。同計画では香港・マカオとの交通アクセスを強化するため、広東省は港珠澳大橋の交通量を効果的に増やすために、同大橋を「シングルY型」から「ダブルY型」に改造する企画を明らかにした。