株価を判断する際に何かと役立つのが、インカムアプローチのバリュエーションです。ここからはちょっと面倒ですが、インカムアプローチのバリュエーションについて見ていきます。
インカムアプローチは、「この銘柄の株価は〇〇円で評価されてしかるべきだ」というように、理論株価を計算したい人が拠り所にするバリュエーションの王道です。
まず、ファイナンスの教科書に出てくる内容をおさらいしましょう。
インカムアプローチの代名詞DCF
インカムアプローチとはどのようなものかというと、「将来発生するキャッシュフローを現在価値に割り引いて合計し、理論株価を算出する」というものです。DCF(Discounted Cash Flow)モデルというほうが耳慣れているかもしれません。
キャッシュフローとは、読んで字のごとく、「お金の流れ」であり、「現金」がどう動いたのかの収支を意味します。株式市場では利益が注目されがちですが、企業価値や株主価値を議論する際にキャッシュフローは欠かせません。利益はキャッシュフローのうち最も重要な部分ですが、キャッシュフローのすべてではありません。
また、今日の1円と10年後の1円の価値は異なります。現在価値を計算するためには、期待されているリターンを、投資家の資本コストに見合う数字で割り引きます。
このようにDCFとは、そのものずばり、将来に発生する「キャッシュフロー」を現在の価値に換算するために適当な割引率で「ディスカウント(割り引く)」し、それを合計することで企業価値や株主価値を算出する方法です。