膨れ上がる投下資本を放置すると
アクティビストに狙われる

 先ほども申していたとおり、経営をするには資本を投下する必要があります。そこには資本コストがかかっています。そしてここから資本生産性が上がってきて、それが投下資本に戻っていきます(図表22)。

儲けが出ていてもROEが下がり続ける「平均回帰の呪い」とは図表22

 超過利潤が出ていれば、投下資本は丸々と太っていく。でも、それが逆だったら投下資本はやせていきます。さっきの会社は、OPマージンはずっと10%ですから、まだ超過利潤は出ていると思いますが、恐ろしいことに投下資本が太り過ぎてしまったのです。儲かったがゆえに投下資本が太り過ぎ、それを放置してしまうと複利の水準が自然と低下してしまいます。

 ROEでいう「E」がふくれているわけです。「R」が維持できていたとしても「E」がふくれてしまえば、ROEは平均に回帰してしまいます。B/Sを賢くコントロールしないと、みなで豊かになれません。

 このようなことを言うと、「投資家はすぐ還元しろと言う」と言われてしまいますが、それだけのために言っているわけではありません。もちろん還元をしたほうが、リターンが上がるという会社もありますが、それよりもB/Sをうまくコントロールしていただきたいのです。さもなければ、アクティビストに狙われやすいランキングに載ってしまいます(図表23)。

儲けが出ていてもROEが下がり続ける「平均回帰の呪い」とは図表23

 株価が割安になったり、B/Sをマネジメントしないのでキャッシュ比率がものすごく上がったりする企業は、アクティビストに狙われます。

 これでようやく「現在の経営」から「複利の経営」になりました。「勝者の呪い」を乗り越えて、みなで豊かになる道が見えてきました。これを最速で駆け抜けていくやり方が、私が提唱している「三位一体の経営」です。