中神康議
経営者・従業員・株主がこぞって豊かになる「三位一体の経営」とは?
楠木建 一橋大学教授が「経営の王道がある。上場企業経営者にぜひ読んでもらいたい一冊だ」と絶賛! 刊行から2年が経っているにもかかわらず、いまだに経営者界隈で話題が尽きない本がある。『経営者・従業員・株主がみなで豊かになる 三位一体の経営』だ。

第24回
毎年2~4兆円分の株を従業員に持たせるGAFAから学べること
GAFAは年間2~4兆円分の自社株式を従業員に譲渡している一方で、日本企業は従業員の給料を犠牲にしてROAを維持している――。そんな衝撃的な事実から、私たちは何を学べるだろうか。

第23回
「配当性向は平均でいい」と考える経営者に致命的に欠落していること
日本企業は、配当性向を平均値である30~40%の間に設定しているところが多い。そのような企業の経営者は「平均と一緒だから問題ない」と考えていると思われるが、そこには重要な視点が欠落している。その「視点」とは、それがなければ「投資の対象にもならない」と思われるほど不可欠なものだ。一体なんだろうか。

第22回
ESGに熱心だが業績を上げられないCEOはどう評価されるべきか
今年の3月、ESG経営を推進してきた仏ダノンのエマニュエル・ファベールCEOがアクティビストによって解任させられた。短期的な利益と長期的なESGへの取り組みの両立は難しいといった論調の報道が散見されるが、楠木建 一橋大学教授は「ESGに取り組んでいるのに業績が問われるのであれば、そもそも本業に問題がある」と辛辣だ。

第21回
「投資家の思考と技術」で経営の次元を引き上げる
投資家は、株価が上がらないと困りますので、どうすれば上がるかを日々考えています。この「投資家の思考と技術」を経営に組み合わせていくことによって、株式価値が上がり、それをみなで享受し、経済的に報われていく。それが「三位一体の経営」なのです。

第20回
儲けが出ていてもROEが下がり続ける「平均回帰の呪い」とは
超過利潤が出ていれば、投下資本は丸々と太っていく。それが逆だったら投下資本はやせていきます。しかし、儲かったがゆえに投下資本が太り過ぎ、それを放置してしまうと複利の水準が自然と低下してしまいます。

第19回
日本企業のリスクテイクは世界最低水準
日本企業は、せっかく取ったリスクに比べて、取れたリターンも低い。また取ったリスクに見合うリターンも上げていません。データを見ると、そういった事実が見えてきます。

第18回
なぜ株主はすぐ「ROE」と口にするのか
ROEは短期投資家のためのロジックだと言う方が多いのですが、これは私からすると絶望的事実誤認です。高いROEを長期間維持することこそ、みなで豊かになる道にほかならないのです。

第17回
従業員の給料を下げてROAを維持する日本企業の不都合な真実
ROAの推移を見てみると、3.5%と非常に低いレベルで安定をしています。その裏で、労働分配率がどんどん下がっています。従業員のみなさんへの分配を減らしながら、なんとかROAをキープしているということがわかります。

第16回
企業は「サステナビリティ」とどう向き合うべきか
「サステナビリティ」という言葉がバズワードになって久しいが、「できることなら何もしたくない」とさめた目で見ている人は多いのではないだろうか。ゴールドマン・サックス証券でSDGsやサステナビリティの啓発活動をしている清水大吾氏は「社会に認められない利益は、将来のどこかの時点で社会から拒絶されてしまう」と警鐘を鳴らすが、これはどういうことか。

第15回
「二年の猶予で事業再生できないなら経営者失格」SHOEI山田元会長の内部留保の考え方
SHOEIはプレミアムヘルメットの世界で圧倒的なシェアを誇るグローバルNo.1企業です。いまでこそ、このポジションを不動のものとしていますが、約35年前には会社更生法を申請した会社でもあります。倒産という最も厳しい時期を乗り越えてこられた経営者らしく、山田さんはお金の使い方について規律の利いた思想を持っています。

第14回
「街の食堂」にすぎなかった外食産業においてロイヤルホストはどうやって一大チェーンを築いたか
60年代の飲食業を外食チェーンビジネスに発展させるためには、莫大な投資が必要でした。さて、どうやってそのお金を調達したらよいでしょう。当時のロイヤル株式会社は、上場などしていません。結局銀行から借り入れるしかないのですが、当時は「飲食業=水商売」という認識が一般的で、そんな事業にお金を貸してくれる銀行は存在しませんでした。

第13回
経営戦略の骨格が「ほぼ自動的に」決まってしまうパワフルすぎるフレームワークとは
「事業経済性」という、あまたある事業の儲けの構造をたった4つに分類するパワフルなフレームワークがあります。それだけでもすごいのですが、事業経済性を使えば、儲けの構造だけでなく「競争の構図」や「戦略の骨格」さえも、ほぼ自動的に決まってしまうのです。

第12回
この金余り時代に活発化するアクティビストはどんな企業を狙うのか?
株式市場の鬼っ子のような存在だったアクティビストはいま、どんどん進化しています。この流れをきっちりと押さえ、本質的な対応方針を立てておかなければ、「みなで豊かになる経営」への道筋を攪乱されかねません。

第11回
米国企業が「自社株買い」をしたがるのはなぜか
米国企業の配当方針はバラバラでゼロという会社がたくさんあっても、その脇では自社株買いを十分に行っていて、多くの会社の総還元性向が100%を超えています。これは「自社株式というものは、実は大変良い投資対象なのだ」という、日本ではまだあまり浸透していない考え方に基づいています。どういうことでしょう。

第10回
営業利益率が2%から12%に!ヤマハの「指名委員会制度」導入
ヤマハ株式会社の中田社長は、ついこの前までわずか2%程度だった営業利益率を12%程度まで劇的に引き上げた立役者です。時価総額も就任前の2000億円規模から、いまや1兆円規模に。指名委員会制度をうまく使って、「眠れる獅子」を呼び覚ました興味深い事例でもあるのです。

第9回
誰がやっても採算がとれない個人宅配事業で、ヤマト運輸はどう利益を上げたのか
ヤマト運輸が宅急便事業を始めたころの話です。実質的な創業者である小倉昌男さんの『小倉昌男 経営学』という本に、障壁構築にまつわる要素、たとえば独創的な事業仮説が生まれた背景や、仮説をバックアップするためのロジックと調査、そして周りからの強烈な反対といったすべての要素が収められているのです。引用が少し長くなってしまいますが、これ以上のリアルな戦略書籍はめったにないので、お付き合いください。

第8回
「正気を疑われるほどの在庫投資」で業界平均以上の利益率を上げたトラスコ中山の経営観
一般的に軽い方がよいとされている在庫。しかし、トラスコ中山は40万点を超える在庫などに莫大な投資をしています。その逆説的なリスクテイクは、いまのところ業界平均以上の利益率につながっています。なぜでしょうか。

第7回
参天製薬がMR教育に「呆れるほどのコスト」をかけている理由
小さな取引を一つずつ積み重ねていかないといけない眼科分野は、そのままでは非効率で儲かりづらい分野。にもかかわらず、参天のMR一人当たりの売上高は3.3億円と、他の国内大手製薬会社と比べてもダントツに高い水準です。なぜでしょう。

第6回
「新聞配達店」と同規模! 大塚商会が「呆れるほどのコスト」で支店網を拡充させた理由
中小企業のIT市場は、顧客となる会社の数こそ多いのですが、営業やサービスなどで手間暇がかかる割には顧客当たりの売上規模が小さい、という特性があります。にもかかわらず大塚商会の創業社長は、このセグメントに対して網の目のような支店網を築き上げました(毎朝と毎夕、近隣の住宅に新聞を配達する新聞配達店と同じぐらいの支店網の密度を目指したそうです)。
