コロナ禍からの企業業績の回復は、勝ち組と負け組の格差が拡大して「K字型」に引き裂かれていくという二極化の議論が強まっている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は日本製鉄、住友金属鉱山などの「製鉄/金属製品」業界6社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
製鉄/金属製品業界6社は
全て前年同期比2桁増収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の製鉄/金属製品業界6社。対象期間は21年4~6月の直近四半期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・日本製鉄
増収率:32.8%(四半期の売上収益1兆5032億円)
・住友金属鉱山
増収率:54.3%(四半期の売上高2943億円)
・ミネベアミツミ
増収率:32.5%(四半期の売上高2483億円)
・日立金属
増収率:46.6%(四半期の売上収益2269億円)
・JFEホールディングス
増収率:19.5%(四半期の売上収益8889億円)
・神戸製鋼
増収率:23.8%(四半期の売上高4632億円)
※神戸製鋼は収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、当社の当該四半期の決算短信における開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない数字を用いている。
製鉄/金属製品業界6社の四半期増収率(前年同期比)は、全てプラスとなった。6社とも2桁の高い増収率を記録している。
ただ、高い増収率の背景には、前年同期に当たる20年4~6月期に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、売り上げが大きく落ち込んだことによる「反動増」の影響がある。
そこで、コロナ前の実績と比較してみると、各社のコロナ禍からの回復状況には差が出ていることが分かった。次ページ以降では、データを交えて詳しく解説する。