コロナの感染拡大による
シェアハウス市場への影響は
ジョージさんのように、コロナ禍のシェアハウス生活に対して「仲間がいる心強さを感じた」という人がいる一方で、「コロナが怖いのでシェアハウスを出た」といった否定的な意見の人もいるはず。
では実際、シェアハウス市場はコロナによってどのような影響を受けているのだろうか。10年以上都内のシェアハウス管理会社に勤め、シェアハウス経営のノウハウを発信するサイト「シェアハウス経営の教科書」の運営者であるE氏に聞いた。
「第1回の緊急事態宣言が発令された2020年の4~5月頃には、一時的に入居希望者の減少が見られましたが、その後は回復傾向にあります。おそらく、コロナで職を失ったり、収入が減ったりした影響で、安い家賃で仲介手数料もなく、家具家電付きという、初期費用が抑えられるシェアハウスを選んだ人もいるのではないかと思います。また、シェアハウス入居者のメインとなる20~30代の若い人のニーズも衰えていません。今のところ、若年層はコロナの重症化率が低いため、最低限の感染対策をしていれば問題ないと考える人も多いのではないでしょうか」
ただ、外国人の入居者が多いシェアハウスはコロナで大きな打撃を受けているという。
「シェアハウスには、日本人と外国人の入居者を半々の割合で募集したり、外国人をターゲットに絞ったりする物件もありますが、コロナにより訪日外国人が減り、外国人の入居希望者は確実に減っています。東日本大震災のときも、帰国を理由に退去する人が多かったのですが、今回のコロナでも同程度の減少があったと予測されます」
また、コロナの影響で入居希望者が物件を選ぶポイントにも変化が見られるという。
「テレワークの環境を気にする人が増えた印象です。入居を検討する際に、立地だけでなく、個室の有無やネット環境を確認する人が増えています。運営者側が自主的にWi-Fiの通信速度を上げるなどの対応を行う動きも見られますね」
今やシェアハウスの運営側にも、リモートへの対応が求められているようだ。最後に、今後のシェアハウス市場の見込みを聞いた。
「若い人のシェアハウスニーズは変わらないので、今後も市場は徐々に伸びていくと考えます。また、さらにテレワークの導入が進めば、職場との距離にこだわらず、郊外でより安くて広いシェアハウスを求める人が増える可能性もあります。いずれにせよ、コロナを機に、シェアハウスに求められる条件は多様化していくでしょう」
前出のジョージさんも、シェアハウスの仲間と助け合えることに加え、経済的に選びやすい点から、「次に引っ越すとしても、またシェアハウスを選びたい」と語る。コロナ禍であれ、シェアハウスの需要は変わらず続いていくようだ。