――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター ***  英グラスゴーで10月31日に開幕した国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)。地球温暖化対策を話し合うこの国際会議に向けて、世界の指導者たちの間では二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロに抑制する対策に支持が拡大してきた。しかし、その一方で、排出量の実質ゼロを目指すことに経済的メリットがあるのか、という扱いの難しい問題が浮上している。それは科学的問題であると同時に経済的問題でもあり、経済的側面は科学的側面よりもずっと不明瞭だ。