特に英語の場合、話し上手な人は形容詞や副詞を効果的に使っている。「この人は」と言いたいときに「このチャーミングな人は」と言ってみる、といった具合だ。名詞の前に付けると、さり気なく、かつスマートに聞こえる。「チャーミング」という形容詞に同意できなくても聞き流されるだろうし、本人の気分も悪くなりにくく、その場の雰囲気が柔らかいものに変わる。人の注目を引くためには、陳腐な言葉ではなくスパイスを上手に取り入れる工夫が必要だ。

◇「煙たい言葉」をバロメーターにする

 一般的に「煙たがられる」というのは、望ましい状態ではない。しかし相手のことを本当に考えるなら、理にかなっている側面もある。

 飲酒を例にとるとわかりやすい。飲み過ぎの傾向があると判断された人は、酒を控えるようにと家族などから言われるだろう。本人からすれば自分の楽しみを奪われている気持ちになるが、家族はその人のことを考えているからこそ言っているのだ。

 一方で、常に自分にとって嫌なことを言う人もいる。そうした人をやみくもに敬遠するのは得策ではない。異なった考え方にも納得できる側面があることを忘れず、自分の言動のバロメーターとして利用するようにしよう。自分のことを見直すきっかけにつながり、世界が広がったように感じられるかもしれない。

◆知らずに言ってしまう「一言」
◇相手の話の腰を折る「そうですよ」

 人が親切心から情報を提供してくれた場合でも、すでに自分が知っていることであった際には、つい無愛想な対応をしがちだ。そんなとき、「ああ、そう」「そうですよ」と気のない反応を示すと、相手の話の腰を折ることになってしまう。その結果、やがて誰も情報を提供してくれなくなるだろう。

 たとえ知っている話であっても、耳を傾けていれば、さらに詳しい情報や別の観点からの考え方を知ることができるはずだ。自分に興味がない情報でも、相手の言うことには耳を傾ける姿勢でいよう。

◇「……でよい」と「……がよい」は大違い

 著者がある人と会ったときのこと。食事でもご馳走しようと言うと、「いいですよ」。近くのコーヒーショップに誘うと「そこでいいですよ」という返事であった。著者は考え込んだ。「でよい」という言い方に、仕方がない、我慢するなどといった印象を受けたためだ。だが相手の様子をうかがうと、決して嫌がっているようには見えなかった。