2万円のマイナポイント給付案が
急浮上した理由

 さきに政治とは何の利害関係もない私の意見を表明させていただくと、「もらえるだけもらうべきだ」というのが結論です。リスクは小さくかつ、もらわないことで得られるメリットも小さいというのがその理由です。一つ一つ説明しましょう。

 そもそもこのマイナポイント2万円という話が何なのかというと、先の総選挙で野党が提示した「一律10万円の現金給付」に対する自民党の答えです。コロナウイルス感染拡大に対応する経済対策として、野党のように一律バラマキをすると10兆円を超える予算が必要になります。それはよくないという主張から、自民党は一律のバラマキを否定して選挙戦を戦いました。

 そして、選挙は自民党と公明党の与党が大勝したわけです。そこで、「18歳以下の子どもに10万円の現金給付」という公明党の主張をくんだうえで、「年収960万円以上の世帯を除く」という条件付きで対象を限定した給付金案を認める方針になりました。

 ちなみに18歳以下の子どもは約1800万人、対象から外れる年収960万円以上の人はおそらく全体の5%程度です。で、残り1億人強の国民への現金給付はどうするのかというと、同じ与党間の話し合いの中で、「マイナポイントで最大2万円の給付をする」という案が決まっていったというのが話の経過です。

 自民党としても、ただ何も得るものが無しで「一律2万円の現金給付」は嫌だったということでしょう。デジタル庁が発足して、5年以内にマイナンバーを軸にした行政のデジタルトランスフォーメーションを実現していくという政府の目標にも合致することから、「マイナンバーへのひも付けをした国民に最大2万円のポイント給付」に給付金のゴールをずらしたわけです。

 ということで、「コロナで収入が減って政府からの給付金が欲しかった人は、マイナポイントの最大2万円がその代わりなのだよ」というのが最初の説明です。