「懐石 小室」和 四段重 32万4000円「懐石 小室」和 四段重 32万4000円(鮒寿司付、完売、写真提供:高島屋)

「食材の希少性だけでなく、相当に手間をかけて調理して、きちんと値段に見当った価値のある商品を販売しています。独自性のあるおせちを小さな厨房(ちゅうぼう)で作っていただいているので、需要が増えたからといって、それに合わせて大きく数を増やせるわけではないんです」(前川さん)

 高島屋でも3年前から「懐石 小室」の30万円を超えるおせちを販売しているが、「これだけの付加価値をつけるのは簡単な話ではない」と、山下さんは言う。

「タケノコの煮もの一つとっても、当然、素材は国産で、かつ、産地が限定されたり、場合によっては生産者が限定される。カズノコは一般的な塩蔵した冷蔵のものではなく、北海道・前浜の『干し数の子』。それを水戻しして、ご主人の小室さんが味つけをして、おせち料理に仕立てていく。ものすごく手間と時間がかかっている。最近、高額おせちの市場が認知されてきていますが、だからといって、商品数がいきなり倍になるものではないんです」

「小泉武夫監修 発酵おせち」和・洋 二段重 3万2400円「小泉武夫監修 発酵おせち」和・洋 二段重 3万2400円(写真提供:高島屋)