著名人や有名経営者から名指しで「あなたにインタビューをしてもらいたい」と声がかかるインタビュアーの宮本恵理子さん。これまでに取材した相手は延べ2万5000人以上。そんな彼女の「聞くスキル」を一冊にまとめた『行列のできるインタビュアーの聞く技術』が好評発売中です。本書の巻末には、実際に寄せられた「取材時の困った!」に宮本さんがどう対処してるのかをまとめました。本連載では、書籍の回答に大幅加筆し、取材の悩みに回答していきます。『行列のできるインタビュアーの聞く技術』と一緒に読み込めば、きっと話を聞くスキルがぐっと高まるはずです。

聞き手が想定した以上のエピソードを、話し手から引き出すには?Photo: Adobe Stock

原稿ありきで話を聞かない
想定外の寄り道、大歓迎!

質問:インタビューを始める時点で、その後に書く原稿の流れはある程度決めていますか?

回答:ほとんど決めていません。原稿の構成を考えるのは、話を全部聞き終えて、さらに音声をテキストに起こして、冷静になって、全部を見返してからの作業になります。

 話を聞く前から原稿の流れを固めてしまうと、その流れを構成することを目的としたインタビューとなってしまい、「自分が事前に想定した範囲」を超えない結果になってしまいます。

 そういったインタビューを受けた経験について「つまらない」と感じている方々の声も聞いてきました。

 もちろん、「今回の記事では、特にこの点について読者に響くメッセージをいただきたい」といったポイントについては事前に考えていきますが、流れをくむのは聞いた後の作業と考えています。

 話を聞きながら、その人を言い表せるキーワードが見えてきたら、「掘る」「つなげる」(拙著『行列のできるインタビュアーの聞く技術』の164〜167ページを参照ください)などのリアクションをしながら、エピソードを関連づけていきます。

 結果、いつも「想定外」のお話がどんどん増えていきます。

 思った以上に寄り道をしたことを話し手の方が気にされて、インタビューを終える頃には「こんなお話で大丈夫でしたか?」と聞かれることもよくあります。私はにっこり笑って「もちろんです。思った以上にすばらしいお話が聞けました」とお返ししています。

 『行列のできるインタビュアーの聞く技術』では、本記事で触れたような相手の話を聞くためのさまざまなスキル、相手の心をほぐして話をよりスムーズに聞くためのスキルを88、紹介しております。そしてこの聞く技術は、インタビューという特殊な環境ばかりではなく、営業や1on1、会議、面接、コーチング、採用、雑談などあらゆるシーンでも生かすことができます。ぜひ、本書を手に取ってみてください。

聞き手が想定した以上のエピソードを、話し手から引き出すには?