厳罰化しても
繰り返される悲劇

 飲酒運転を巡っては、悲惨な事故が発生するたびに法改正で厳罰化されてきたが、その後も繰り返されてきた。

 1999年に東京都世田谷区の東名高速で起きた事故では、トラックに追突された乗用車が炎上し女児2人が焼死したが、最高刑が懲役5年の業務上過失致死傷罪が適用され懲役4年が確定。罰則が軽すぎると批判が強まり、01年に最高刑が懲役15年(加重により最高20年)の危険運転致死傷罪が新設され、05年には最高刑が20年(同30年)に引き上げられた。

 八街市の事件で梅沢被告が運転していたのは、自社の業務で荷物を運ぶ自家用の「白ナンバー」で、貨物自動車運送事業法に基づき有償で依頼を受ける業務用の「緑ナンバー」のように、乗車前のアルコール検査は義務付けられていなかった。

 この点を重く見た警察庁は、白ナンバーを使う企業や団体(以下、事業者)に対し、アルコール検知器による運転手の飲酒検査の義務付けを検討。11月4日、道路交通法施行規則を改正し、来年10月からの義務化を決めた。

 対象は白ナンバー5台以上か、定員11人以上の車両を1台以上使う事業者で、検査は運転前と後に実施し、検査結果は1年間の保存を義務付ける。違反すれば安全運転管理者が解任されるケースもある。

 全国紙社会部デスクによると、21年3月現在、安全運転管理者を選任して警察に届けている白ナンバー事業者は全国に約34万、運転手は約728万人。法改正ですべての事業者に運転手への検査を義務付ける。