「税金だけ」で考えると損をする事例

――今の話の「逆パターン」で、司法書士が相続に携わったとき、税金の知識がないばかりに大きな相続税がかかってしまったり……もある気がしました。

橘:そうですね。たとえば「小規模宅地特例が使えるはずだったのに、使えない分け方にした」とか、「二次相続税がすごく高くなるような分け方をした」など、「税務の知識があれば、もしくは私に相談していればこんなことにはならなかっただろうに」という残念なケースもよく耳にします。
詳細はこちら→あやうく1000万円の大損!? 相続税を知らない司法書士の話

――そうなんですね、、、!

橘:税理士も税理士で、税金のことばかり考えて、「生前に不動産をたくさん買い込んでおけば税金が安くなりますよ」と不動産を買うように勧め、その方が亡くなって、子どもが3人いて、「さてどうやって分けるんだ、1つの大きな不動産しかないぞ」となって3人兄弟の骨肉の争いを誘発したり……といったケースもあるんですよね。

――それは恐ろしいです。

橘:「本業」の知識・経験を増やしていくのが大切なのは大前提ですが、同時に「周辺知識」も増やしていかないと、「本業」の正確さそのものが脅かされてしまいます。私自身、苦い経験がありますからね。生半可な知識で仕事に当たらないように心掛けています。

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遺産分割の失敗例、相続は「税金」だけで考えると損します!橘 慶太(たちばな・けいた)
税理士。円満相続税理士法人代表
中学・高校とバンド活動に明け暮れ、大学受験の失敗から一念発起し税理士を志す。大学在学中に税理士試験に4科目合格(「資格の大原」主催の法人税法の公開模試では全国1位)。大学卒業前から国内最大手の税理士法人山田&パートナーズに正社員として入社する。税理士法人山田&パートナーズでは相続専門の部署で6年間、相続税に専念。これまで手がけた相続税申告(相続手続)は、上場企業の創業家や芸能人を含め、通算500件以上。相続税の相談実績は5000人を超える。また、全国の銀行や証券会社を中心に通算500回以上の相続税セミナーの講師を務める。2017年1月に独立開業。現在、東京・大阪の2拠点で相続専門税理士が多数在籍する円満相続税理士法人の代表を務める。「最高の相続税対策は、円満な家族関係を構築すること」をモットーに、依頼者に徹底的に寄り添い、円満相続実現のために日々尽力する。週刊東洋経済や女性自身、日本経済新聞、朝日新聞など、さまざまなメディアから取材を受けている。限られた人にしか伝えることができないセミナーよりも、より多くの人に相続の知識を広めたいという想いから、2018年にYouTubeを始める。自身が運営する【円満相続ちゃんねる】は、わかりやすさを追求しつつも、伝えるべき相続の勘所をあますところなく伝えていると評判になり、チャンネル登録者は6万9000人を超えている。2020年に刊行した初著書『ぶっちゃけ相続』は4万6000部を突破するベストセラーとなった。
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