「相続」というニッチジャンルで、チャンネル登録者数を増やせた理由
――橘先生のYouTubeチャンネル「円満相続ちゃんねる」は、2021年11月現在で登録者数が7万人を超え、大人気を誇っています。YouTubeを始めたきっかけは何だったのですか?
橘:もともとはブログに力を入れていたんです。お客さまを集めようとブログ記事をたくさん書いていて、それがうまくいっていたんですね。でもある日、急にアルゴリズムが変わってしまい、閲覧数がいきなり3分の1くらいに落ちてしまったんです。
――それは焦りますね。
橘:はい。このままじゃまずい、何かほかにも発信の手段を探さないとと思い、行き着いたのがYouTubeというわけです。それまでもセミナーで講師を務めていて、目の前にいる方にお話する機会は多かったのですが、私が直接話をして伝えることができるのはやはり、限られた方です。YouTubeならば、日本全国のどこにいる方にでも届けることができる。これも大きな利点だと感じました。
――「相続」というテーマは、動画コンテンツとしてはニッチジャンルに入ると思います。チャンネル開設時から、勝算はあったのですか?
橘:いえ、初めはそんなに「YouTubeで拡散するぞ!」と意気込んでいたわけではなく、ブログのいちばん後ろにYouTubeのリンクを貼って「ブログの補足」的に動画をつくっていたんですよ。必要としている人に、必要な情報が届けばいいと考えていたので、そもそも「勝算」のありなしはあまり考えていなかったかもしれませんね。
――なるほど! 補足的な位置づけからのスタートだったのですね。ここまで伸びたきっかけは何だったのでしょう。
橘:本格的に動画をアップし始めて3ヵ月ほどたったころ、「タンス預金は税務署にバレるのか?」という動画をアップしたら、それがバズったんです。そこで登録者数が一気に増えましたね。
――このお話、『ぶっちゃけ相続』で詳しく掘り下げてますよね。
橘:それまでチャンネル登録が1500人ほどだったのが、一気に7000~8000人くらいにまで増えて。1日1000人増えるのが3日くらい続いたと思います。
――おお、すごい! どこかで紹介されたのですか?
橘:私は知らなかったんですけど、YouTubeの「おすすめクリエイター」に載っていたらしいですね。「急上昇のチャンネル」と認められると、YouTube側が選んでくれて、「おすすめクリエイター」として載るようで。
――動画をつくるときの心構えは、初期と今とでは変わってきましたか?
橘:変わりました。今は「本数」よりも「クオリティ」をいかに追求するかにシフトしています。
――それはなぜですか?
橘:ある程度、チャンネル登録をしてくださっている方々が増えてきたので、「自分を知ってもらう」フェーズから、「登録してくださっている方により有益な情報を届ける」ほうが大事になってきていると考えているからです。内容はもちろん、たとえば「フル字幕にする」など、「わかりやすさ」「伝わりやすさ」も追求していきたいですね。
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税理士。円満相続税理士法人代表
中学・高校とバンド活動に明け暮れ、大学受験の失敗から一念発起し税理士を志す。大学在学中に税理士試験に4科目合格(「資格の大原」主催の法人税法の公開模試では全国1位)。大学卒業前から国内最大手の税理士法人山田&パートナーズに正社員として入社する。税理士法人山田&パートナーズでは相続専門の部署で6年間、相続税に専念。これまで手がけた相続税申告(相続手続)は、上場企業の創業家や芸能人を含め、通算500件以上。相続税の相談実績は5000人を超える。また、全国の銀行や証券会社を中心に通算500回以上の相続税セミナーの講師を務める。2017年1月に独立開業。現在、東京・大阪の2拠点で相続専門税理士が多数在籍する円満相続税理士法人の代表を務める。「最高の相続税対策は、円満な家族関係を構築すること」をモットーに、依頼者に徹底的に寄り添い、円満相続実現のために日々尽力する。週刊東洋経済や女性自身、日本経済新聞、朝日新聞など、さまざまなメディアから取材を受けている。限られた人にしか伝えることができないセミナーよりも、より多くの人に相続の知識を広めたいという想いから、2018年にYouTubeを始める。自身が運営する【円満相続ちゃんねる】は、わかりやすさを追求しつつも、伝えるべき相続の勘所をあますところなく伝えていると評判になり、チャンネル登録者は6万9000人を超えている。2020年に刊行した初著書『ぶっちゃけ相続』は4万6000部を突破するベストセラーとなった。