今回、相続税と贈与税の一体化は見送られたが、いずれ法改正がなされ、生前贈与がしにくくなることは不可避の情勢だ。特集『生前贈与 駆け込み相続術』(全19回)の#9では、それを見越した金融機関の現場では、さながら「駆け込み贈与」バブルといえる営業行為も起きているさまを見ていく。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
金融機関の本部は慎重も
現場は「駆け込み贈与」に邁進?
贈与税と相続税の一体化──。懸念された2022年度税制改正大綱では見送られたものの、行き過ぎた相続対策を抑制するために設けた贈与税が過度に利用されている状況を鑑み、今後、生前贈与がやりにくくなることは間違いない。
ならば、金融機関をはじめとした事業者側が「駆け込み贈与」をもくろみ、あたかも生前贈与バブルの様相を呈しているかといえば、表向きは至って静かに見える。
とりわけ、顧客からの信用を重んじる銀行は、「生命保険を活用した生前贈与プランの売り控えを決めたところもあるようだ」と、ある金融関係者は明かす。
ところがだ。「本部は慎重であっても、現場はそうとは言い切れませんね」という声が漏れ伝わってくる。