生前贈与#11Photo:Diamond

少しでも相続税を減らそうとして、相続税対策をするのは悪いことではない。だが、相続直前での対策には注意が必要だ。あからさまな相続税対策に対しては、常に税務当局が目を光らせており、時には牙をむいてくるからだ。特集『生前贈与 駆け込み相続術』(全19回)の#11では、その実情を追った。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

「週刊ダイヤモンド」2021年12月18日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

相続税対策に対しては
税務当局が注視

 相続税を減らすには、現金から不動産へと財産の形を変えればよい。もっともこうした手法には税務当局が目を光らせている。その一例が、2019年8月に判決が下った過度な相続税対策案件の否認といえるだろう。

 これは、90歳の親が2棟の不動産を合計約13億8000万円で購入し、その後死亡。相続人である子が不動産の相続税評価額を約3億3000万円として申告したものの税務当局が否認、評価額は約12億7000万円との見解を示した。双方の主張は真っ向から対立し、裁判で争ったという事例だ。

 先述の通り、結果は納税者側の敗訴。では、その理由は何だったのか。