生前贈与#15Photo:PIXTA

生前贈与や相続での悩みに直面したときに頼りになるのが税理士をはじめとする士業だ。しかし、実力のある士業を選び損なえば、思わぬ「痛い目」にも遭いかねない。特集『生前贈与 駆け込み相続術』(全19回)の#15では、資格に惑わされない本当の「プロ」の見極め方を紹介する。(ダイヤモンド編集部編集委員 名古屋和希)

「週刊ダイヤモンド」2021年12月18日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

プロ士業の条件は「コミュ力」
「キラー質問」で見極め

「コミュニケーション力は重要なポイントだ」。特定行政書士で士業専門コンサルタントの横須賀輝尚氏はそう指摘する。

 贈与や相続での個人の悩みは千差万別。そこで「しっかりと相談に乗ってくれて、満足感を与えてくれるかどうかが『プロ』の条件だ」(横須賀氏)という。

 実は、それを見分ける「キラー質問」がある。初めて相談に訪れた際に、「他の事務所も幾つか回ってきていいですか」と切り出してみるのだ。

 横須賀氏は「『セカンドオピニオン』を嫌がらない士業は、コミュニケーション力が高いだけでなく、自信や実力もある可能性が高い」と語る。

 顧客側にとっては「一度相談に訪れたら契約しなければ」という思いがあるかもしれない。しかし、こうしたセカンドオピニオンなどを通じて、満足感の得られる士業を選びたい。

 そもそも相続や贈与の場面では、家族関係などもさまざまだ。士業には手続きをきっちりこなせるかという点は大前提として求められる上に、「全体の状況を考えて、顧客に意見が言えるかどうかが大事だ」(横須賀氏)。

 一つの判断材料として見ることができるのが、ホームページなどに紹介されている顧客の声だ。「実名で顧客が紹介されていれば、顧客との信頼関係が高い証拠とみることができる」(同)。

 もう一つ、士業を選ぶ判断材料としては「報酬」がある。ところが、安いかどうかだけで決めると、痛い目に遭うという。見極めには、こつがあるのだ。