「今の会社で働き続けていいのかな?」「でも、転職するのは怖いな……」。働き方が大きく変わるなか、そんな悩みを抱える人は多いだろう。高卒から、30歳で年収1000万円超という驚きの経歴をもつ山下良輔さんは、そんな「転職迷子」たちから圧倒的な支持を得ている。山下さんは初の著書『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』で、自らの転職経験を全て公開している。
その戦略は「外資系やコンサル業界は、学歴エリートでなくても入れる」「職歴に一貫性はなくてもいい」など、これまでの「転職の常識」を塗り替えるものばかりだ。どうしたら人生を変える転職ができるのか、どうしたらいい会社選びができるのか。この連載では、本書より一部を抜粋して公開する。
頭がいい人は、自分の業界の「年収の壁」を調べる
会社選びで「現状にとらわれない」ために、まずやるべきこと。それは、「日本企業の年収ランキング」をざっくりでいいので、知っておくことです。
僕が転職したコンサルティング業界は「30歳で年収1000万円」になることも可能です。一方で、僕の前職の製造業は、「30歳で600万円」あればいいほう。そして、この400万円の差は、個人の能力とは全く関係ないところで存在しています。年収1000万円の業界があることを「知っている」か「知らない」かが、運命をわけているのです。
次のページに『会社四季報 業界地図2022年版』発表の「業界別40歳の平均年収」の図を入れておきました。
・日本にある全ての業界名
・日本にある全ての業界の年収
を知る。それだけで自分が今いる業界の常識や前提がいかに「狭い」かに気づくことができます。
さらに大事なのは、この「差」を我がこととして実感すること。これを見て「えっ、他の業界の人たち、こんなにもらってるの?」と一度驚く。その気づきが大事だと僕は思っています。そうして初めて「じゃあ自分はどうしよう……」とゼロベースで考えることができるからです。
ちなみに、高校卒業後、工場で働いていた僕が「コンサルタント」「コンサルティング・ファーム」の存在を知ったのは、当時働いていた松田電機にそう名乗る人が来ていたからでした。その後、身近な人でコンサルタントに会ったのは、スバル時代。働きながら大学院に通った26歳のときです。当然のことですが、職業の存在さえ知らないときは、目指そうとすら思っていませんでした。
もし転職するうえで「年収はそんなに大事じゃない」と思っている人にとっても、このランキングを知ることにはメリットがあります。今の自分がいる業界の「立ち位置」を客観的に見ることができるからです。
例えば、今の会社で「あの人は仕事ができてすごいなあ」と崇拝している部長のことを「あれ、でもこの業界にいる限り50代で年収800万円は超えないのか。コンサルティング業界だと、20代と同じか……」などと冷静な視点で見ることができる。最終的に「年収は自分にとって最重要事項ではない。今の業界にいることを優先したい」と結論づけるとしても、「知らなかった」よりはずっと視野が広がります。