ベスト&ロングセラー『世界No.2セールスウーマンの「売れる営業」に変わる本』の抜粋連載の第2回は、和田さんが営業成績を伸ばすきっかけになったお客さんとのエピソードをご紹介。

「きっかけ」になりたい!

 私が彼女、麻生さんに出会ったのは新宿の高層ビルの地下1階にある本屋さんでした。
 英会話スクールの紹介ということで置かれた小さいカウンターの前に立ち、アンケート用紙を「どうぞ」と言って差し出したときに、それを手に取ってくれたのが彼女でした。
 どきどきしながら私はトレーニングで習ったように話し始めました。

「今までに学校の勉強以外で英語の勉強をしたことがありますか?たとえばNHKとか……」
彼女「NHKの講座は何度か見ました」
「そうですか、なかなか続かないですよね……」
彼女「ええ、まぁ……」

 そのときに、私は彼女がすごく重そうな黒のボストンバッグを持っているのが気になったのです。「重いかばん持って立ってるのって、しんどいよな」と……。
 私はマニュアルどおりのセリフをすっかり忘れて、こう言いました。

「あの、かばん置いてください。すごく重そうなんだもの」
彼女「えっ?あ、はい、すいません」
私「ぜんぜん話は違うのですけど聞いてもいいですか?あの、そんなに大きいバッグ……何かスポーツされているんですか?」
彼女「はい、実はダンスやってるんです」
「えっ、すごーい、かっこいいですね」
彼女「いいえ、そんなことないですよ。まだまだ下っぱで……」
「えっ?じゃ、どっかで踊ったりしてるんですか?」
彼女「はい、ディズニーランドでピーターパンの行列のときに緑の妖精の格好で……」
「あっ、見たことある!かっこいいなぁ」
彼女「でも、誰かわかんないくらいメイクしてるしね(笑)」

 そうやってなんとなく話しやすい雰囲気になったときに、私はふと気がついたことがありました。「今日私は英語の話をしにここに来ていて、彼女と出会って、楽しく話せたってことはきっと意味があるんだろうなぁ」(心の声)