家計簿はつけ始めるとすぐに節約効果が現れる。しかし、しばらく経つと限界を感じてしまう。生活や心の改善もまた、日々の記録だけでは限界があるのだ。では、頭や心を整えてシンプルな状態に保つにはどうすればいいのか?
習慣化のプロとしてこれまで5万人を指導し、1000人以上をコーチングしてきた古川武士氏が、行き着いた最も効果的な習慣は「書く」ことだった。必要なのはノートとペンのみ。自分と向き合い、本当に大切なことに気づけば、生き方は今よりずっとシンプルになる。自分を整理するための「書くメソッド」を体系化した書籍『書く瞑想』から、一部を抜粋して特別公開する。
なぜ家計簿だけでは、節約効果が限定的なのか?
不安やストレスを感じたり、頭の中が混乱しているときは、感情の赴くまま紙に書き出す「書く瞑想」を行うことが大切です。
しかし、「書く」ことで感情の浄化効果は日々得られる一方で、それだけだと洞察が深くならないという限界にも達します。
この点を解消するには「書く瞑想」だけでなく、「書く片づけ」を行いましょう。
なかなかお金が貯まらないと悩む人が家計簿をつけ始めると、すぐに節約効果が現れます。無自覚に無駄遣いをしていたものが、記録をつけるだけで無駄をやめようという意識が働くからです。
しかし、2カ月、3カ月と家計簿をつけ続けると、「記録だけでは、それ以上の効果が現れない」という限界が出てきます。
そこで記録を振り返り、1カ月の累積計算をして俯瞰、客観視することが必要になります。
たとえば、洋服代が月5万円だから3カ月は我慢しようとか、自販機で買う飲み物代の累計が7000円だから水筒を持参して減らそうとか、昼食代が月3万円だからお弁当を作ろうとか、光熱費が3万円と高いから、こまめに電気を消そうという具合です。
これは記録を俯瞰して発見できることです。
自分の心と生活の改善にも同じ法則が当てはまります。
「書く片づけ」で自分を探る
書きっぱなしにせず、月に1回は俯瞰して内容を整理し、そこから気づき・洞察を生み出すことで自己改善と自己発見は進みます。
「書く片づけ」は、日々の「書く瞑想」の内容をベースに自己を客観視し、生活や心の悪循環の根源を見つけて改善したり、心の深層にある価値観や真の理想を探求したりするプロセスです。
「書く瞑想」×「書く片づけ」で自己洞察が深まり、「自分は何を求めているのか?」「自分にとっての幸せは何か?」「人生どのように生きたいか?」という本質的な問いへ、自分なりの回答を探っていきます。
これにより自分の生き方、生活の方向性を明確にしていくことができます。
「書く瞑想」は毎日行うことが理想的ですが、「書く片づけ」は月に1回でいいので、集中しながら心の整理・内省をしていきましょう。
(本原稿は、『書く瞑想 1日15分、紙に書き出すと頭と心が整理される』からの抜粋です)