人はつい自分の足りないことに目がいってしまうもの。だが、自己卑下ばかりしていると、どんどん落ち込み改善できなくなってしまう。プラス面に目を向けるにはどうすればいいのか。
習慣化のプロとしてこれまで5万人を指導し、1000人以上をコーチングしてきた古川武士氏が、行き着いた最も効果的な習慣は「書く」ことだった。必要なのはノートとペンのみ。自分と向き合い、本当に大切なことに気づけば、生き方は今よりずっとシンプルになる。自分を整理するための「書くメソッド」を体系化した書籍『書く瞑想』から、一部を抜粋して特別公開する。

なぜネガティブなことばかり考えてしまうのか?<br />知っておきたい「心を健全に保つ習慣」Photo: Adobe Stock

マイナス感情とプラス感情の両方を書く

「書く瞑想」を行うとき、マイナス感情である「放電」と、プラス感情である「充電」の両方を書くことが重要です。

 その理由は、ツァイガルニク効果にあります。

 ツァイガルニク効果とは、旧ソ連の心理学者であるブリューマ・ツァイガルニクが示したもので、「人は、達成できなかった事柄や中断している事柄の方を、達成できた事柄や完成した事柄よりもよく覚えている現象」です。

 要するに、我々は「できなかったこと、失敗したこと」の印象が大きく、「できたこと、楽しかったこと」などは小さく印象づけられる傾向があります。

 下の図に描かれた2つの円は、どちらが気になりますか?

なぜネガティブなことばかり考えてしまうのか?<br />知っておきたい「心を健全に保つ習慣」どっちの円が気になる?

 右の円は95%を描いていますが、5%が欠けています。

 私たちは欠落している部分に自然と目がいくのです。

 人はどうしても今日できなかったこと、失敗したこと、後悔していることなどマイナス感情があると心はそちらに引っ張られるものです。

 もちろん、それは正常な感覚でもあります。健全な自己嫌悪と反省がない人は成長しませんし、単にわがままで傲慢になっていくだけでしょう。

 しかし、いつも自分はダメだ、何もできていないと自己卑下ばかりをして落ち込むのも生産的ではありません。

 そこで、認知の偏りのバランスを取り戻すために、マイナス(放電)、プラス(充電)の両方を書くようにしています。

 後から良かったこと、できたこと、感謝できることを意識的に書くことで日々のプラスにもフォーカスし、心の豊かさを高めていきます。

 人にもよりますが、マイナスを出し切った方が素直にプラスにフォーカスできます。

 良かったことだけを書くのではなくマイナスを書く理由は、ここに本音や自己発見の宝があるからです。

 ただし、マイナスばかりを見ていては気持ちが上がらず、書くことがそのうち嫌になって続きません。

 よって、放電の後に充電を書き、気分良く終えることで、気持ち良く1日をスタートできます。

 心のメンテナンスは、日々の放電、充電ログを書くことですぐに効果が出ます。

 また、放電を減らし、充電を増やすために、日々小さくできる改善、工夫を重ねていくと心の充足度は日増しに高まっていきます。

(本原稿は、『書く瞑想 1日15分、紙に書き出すと頭と心が整理される』からの抜粋です)