多くの片づけメソッドに共通する一丁目一番地がある。どう片づけていいのかわからず途方に暮れているときは、まずここから始めてみよう。それは「モノの片づけ」でも、「頭や心の片づけ」でも共通する本質だ。
習慣化のプロとしてこれまで5万人を指導し、1000人以上をコーチングしてきた古川武士氏が、行き着いた最も効果的な習慣は「書く」ことだった。必要なのはノートとペンのみ。自分と向き合い、本当に大切なことに気づけば、生き方は今よりずっとシンプルになる。自分を整理するための「書くメソッド」を体系化した書籍『書く瞑想』から、一部を抜粋して特別公開する。

【習慣化のプロが伝授】片づけメソッドに共通する片づけ「前」に必ずやるべきことPhoto: Adobe Stock

「モノの片づけ」と
「心の片づけ」に共通する本質

 悩みや不安など、心に混乱を感じたら、考えずに今の感情をひたすらノートに書き出す「書く瞑想」が効果的です。

 ここで書き出した内容は、心と生活の現実が余すところなく書かれているあなたの詳細なログです。

 まずは、心のログが「書く瞑想」によって出されていることが自己洞察の土台になります。

 自己探求するものにとって、これは気づきの宝庫です。

 よって宝庫を書きっぱなしにしているのはもったいないのです。

 心の混乱を整理するために、「書く瞑想」で出した言葉を上手に読み解き、人生・生活に何が必要で何が不要かを考えていくのが「書く片づけ」です。

 不要なものを捨て、大切なものを残す判断を繰り返すという意味において、「モノの片づけ」と「心の片づけ」は共通しています。

 モノの片づけでは、やましたひでこさんの「断捨離」や、近藤麻理恵さんの「こんまりメソッド」など、整理収納のノウハウはたくさんあります。

 これらは心の片づけにも同じことが当てはまり、非常に大切なポイントです。

 モノの片づけと心の片づけには共通するプロセスがあり、私なりに共通点を抽出すると次の3つになります。

【ステップ1】とにかく全部出すことから始める(出す)
【ステップ2】必要なこと・不要なことを感情基準で分ける(分ける)
【ステップ3】不要なことを減らし、必要なことを増やす(変える)

とにかく全部出すことから始める

 どう片づけていいかわからない状態、渾然とした状態であるときは、方針はシンプルです。

 まずは全部出してみること。出してみてから考えるのが一番です。

 ほとんどの片づけメソッドで、「一旦全部出す」というプロセスは共通しています。

 すべて出すと視覚的に物量がわかり、いかに無駄が多いかがわかります。

 頭でわかっているつもりでも引き出しなどに入っている限り、本当の物量は把握できないものです。

 ごちゃごちゃしているときは、とにかく全体を出してから考えるようにすることです。

 心の片づけもまったく同じです。

 頭の中はやるべきこと、日々の問題でいっぱいになり、心の中の感情はごちゃごちゃしているものです。

 そして、心の深い部分はさらに複雑に入り組んでいます。これらは一気に俯瞰して整理できるものではありません。

 そこで、頭の中の思考、心の中の感情のごちゃごちゃを全部出すことから始めましょう。紙の上で考えたり、感じたりすると実態が把握できます。「メタ認知能力」が働くのです。

 とにかく、考えていること、感じていること、やりたいこと、やりたくないこと、やらなければいけないことなどを、あれこれ考えずに紙に書き出すことだけに集中しましょう。

(本原稿は、『書く瞑想 1日15分、紙に書き出すと頭と心が整理される』からの抜粋です)