2021年もいろいろなネット詐欺が横行し、大きな被害を出していました。コロナ禍でネットの利用が増加するのにつけ込み、新たな手口も登場しています。今回は2021年のネット詐欺トレンドを振り返りつつ、特に目立ったもの五つを取り上げて、その対応策をおさらいします。(NPO法人デジタルリテラシー向上機構代表理事 柳谷智宣)
相談件数も被害金額もNo.1:国際ロマンス詐欺
NPO法人デジタルリテラシー向上機構に寄せられる相談の中でもっとも数が多く、さらに圧倒的に被害金額が大きかったのが、国際ロマンス詐欺でした。FTC(米連邦取引委員会)のリポートによると、近年ものすごいペースで被害総額が増えており、2020年は2016年の4倍の被害が出ています。2021年の統計はまだ出ていませんが、FBIの報告によると、2021年最初の6カ月で1億3340万ドル(約152億円)の被害が出たそうです。
出会い系サイトで知り合った男性のプロフィールがでたらめで真偽の鑑定を依頼してくる方、怒っているので捕まえたいという方から、1000万円、2000万円といった金額を取られてしまい、絶望している方まで多数いました。最大の被害金額は6000万円超です。
以前からある手口でお金を振り込ませる以外に、ビットコインを使う方法が広まっています。ビットコインで金をくれ、というと怪しまれるので、ビットコインに一緒に投資して結婚資金を作ろう、と言うのです。同様の切り口で、一緒にネットカジノでもうけよう、と持ちかけることもあります。
この手口の場合、ビットコインの交換業者サイトやネットカジノサイトは犯人グループが作った偽物です。表面上、勝った負けたの数値は自由に操作できます。お金は送金した時点で、犯人の懐に入っているのです。
ビットコインを渡してしまうと、被害回復はとても難しくなります。犯人逮捕はさらに難しく、泣き寝入りのケースが多いのです。出会い系サイトは広く使われていますが、リスクもきちんと理解しておく必要があります。