欧州連合(EU)において、炭素排出枠(クレジット)は商品というより政治的なツールだ。このことが過去1年間の驚異的な相場上昇を支えてきたが、この市場の金融取引としての投機性を制限するものにもなっている。EUの排出量取引制度(ETS)は世界最大の排出枠の規制市場だ。欧州では、特定産業(主なところでは発電所)で環境を汚染している企業は、年間の二酸化炭素排出量1トンごとに、排出枠と交換することが義務付けられている。割り当てられる排出枠は徐々に引き下げられ、残りは競売に掛けられている。市場価格は当初低迷していたものの、2018年の改革以降上昇している。11日の取引価格は82ユーロ(約1万0750円)と、1年前の34ユーロを大幅に上回っている。
EU排出量取引の活況、政治という「天井」
投資家は取引価格の高騰に注目するが、限界がある
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