なぜ見た目に関しては自画自賛してはいけないのか

「私は仕事ができる」とか「私は絵が上手い」とか「私はリーダーシップがある」とかさ、能力とか人格とか性格に関することなら自画自賛してもいいのに、見た目に関してだけはどうして自画自賛しないのが当たり前っぽくなってるんだろう?

 たとえば面接とかでも「あなたの長所を教えてください」っていう質問に「私にはチームをまとめる力があります。前職ではリーダーをしていたこともあり、人がどうすれば自分の力を発揮できるのかを考えるのがうんたらかんたら」とか言うのは普通だけど、「私はかわいいです。顔がいいので第一印象はバッチリです。前職では多くのお客さんが私に会いに来てくれてうんたらかんたら」って言うのはダメじゃん!? なんでだろう? やっぱり見た目というのは生まれ持って手に入れたものであって、努力して手に入れたものじゃないから自画自賛しちゃいけないということなんだろうか。

 でも冷静に考えてみれば、世の女子というのは少なからず美に関して努力しているものである。私なんて中一の頃からメイクに興味を持ち始めたけれど、未だに眉毛の形も試行錯誤しているし、ファッションだっていかに背の低さ、脚の短さを誤魔化せるかいつも考えているし。どうしたら自分がかわいくなれるかを常に考えているのだ。ダイエットもして脱毛サロンにも行って肌の手入れもして、まつげパーマもして。ちゃんとお金と時間をかけて努力しているのである。私なんてそこまで努力してようやく「かわいい風」に入り込めるかもというところなのに、どうして「自分のことをかわいいと思ってる女はイタい」という風潮になっているのだろう?

 いや、まあ気持ちもわかる。「お前自分のこと絶対かわいいと思ってるやん!」と言いたくなるほどウザいアピールしてくる女がいるのもわかる。超キメ顔のどアップ自撮り写真をツイッターにアップしておきながら「はあ、自分の顔嫌い。かわいくなりたいよぉ」とつぶやいているのを見ると「そんなことないよ、かわいいよ」待ちかよ、ウゼエ! と思うこともあるよ、私も。

 でもね、私はそういう女の子を見ると、ウザいという気持ちよりもはるかに「わかる!」という共感の方が上回るのである。彼女たちの気持ちが痛いほど(イタいほど?)わかるのだ。日々、周りの自分よりかわいい女の子を見るたびに落ち込み、コンプレックスに悩み、なんとか楽しく生きられるようにおしゃれも頑張ってさー。それくらい女にとって「見た目」というのは死活問題なのだ。見た目がよければ人生イージーモードっていうのはあながち間違ってないと思う。