SNSが誕生した時期に思春期を迎え、SNSの隆盛とともに青春時代を過ごし、そして就職して大人になった、いわゆる「ゆとり世代」。彼らにとって、ネット上で誰かから常に見られている、常に評価されているということは「常識」である。それ故、この世代にとって、「承認欲求」というのは極めて厄介な大問題であるという。それは日本だけの現象ではない。海外でもやはり、フェイスブックやインスタグラムで飾った自分を表現することに明け暮れ、そのプレッシャーから病んでしまっている若者が増殖しているという。初の著書である『私の居場所が見つからない。』(ダイヤモンド社)で承認欲求との8年に及ぶ闘いを描いた川代紗生さんもその一人だ。「承認欲求」とは果たして何なのか? 現代社会に蠢く新たな病について考察する。

男がよく聞く「お前自分のことかわいいと思ってるだろ?」<br />という質問に、正直に答えようPhoto: Adobe Stock

ドヤ顔の男の言葉には3つの意味がある

「お前、自分のことかわいいと思ってるだろ?」

 そうドヤ顔で聞いてくる男には、地獄に落ちろと思うほど腹が立つ。

 単純なフレーズだが、この言葉には三つの意味が込められているのだ。

①自分のことすげーかわいいと思ってるかもしれないけど、お前が思ってるほど一般的にはかわいくないよ
②俺はお前程度のかわいさなんか見慣れてるから
③どうだ? 俺に本心を見抜かれて悔しいか?

 基本的に私は上から目線の人間が大嫌いである。それは単に自分が優位に立っていられないと落ち着かないという私の高すぎるプライドのせいもあるが、それ以上に、人の心を分析できていることに快感を覚えるヤツが生理的にイヤというのが大きい。まーあっさり認めてしまうと、同族嫌悪ですネ。

 この世の中には人の心理を分析して言い当てるのがたまらなく気持ちいいという性癖の人間が少なからず存在する。ちゃんと宣言しておくと私にはそういう傾向はないぞ……と言ったら大嘘になるが、私は本人に直接言ってドヤ顔したりなんかしないもんね。あくまでも裏でコソコソ言う(もっとタチ悪いわ)。

 まあ、ツイッターとかでもよくいますよね。わざわざリツイートして、本人に直接聞こえるように「言ってることに全然筋が通ってない件。こういう人、かわいそうだなぁ……。きっと自分が世界で一番偉いと思ってるんだろうね」なんてご丁寧に解説のコメントを書いたりする御仁。

 脱線したが、とにかく私は「お前の考えていることは全部わかっている」とドヤ顔で言ってくるその言動が、鳥肌が立つほど嫌いなのだ。

 さて、では本題。「お前自分のことかわいいと思ってるだろ?」とむかつく男にそう聞かれたらなんと答えるのがベストか?

「ええ、そんなことないよー。あたしなんて全然かわいくないしぃ」

 だめだ、不自然すぎるしぶりっ子すぎる。それにこれじゃあ間違いなく「自分のことかわいいと思ってるな」と思われてしまう。

「いやいや、なんで? 自分のことかわいいと思ってる人なんていないっしょ!」

 うーんこれもイマイチ焦ってる感じが出すぎ。

「うん、思ってる思ってる。あたし超かわいいもん」

 結論、ふざけながらこう言うのが一番いい誤魔化し方か……?

 っていうかさ、待って。まず、なんで「自分のことかわいいと思っちゃいけない」っていうのが前提になってんの!?