サントリーの糖質ゼロビール「パーフェクトサントリービール」とキリン「一番搾り糖質ゼロ」サントリーは糖質ゼロビール「パーフェクトサントリービール」(中央)をリニューアルしてキリン「一番搾り糖質ゼロ」(左)に挑む。右はリニューアル前のサントリーの商品 Photo by Koyo Yamamoto

17年連続で縮小するビール類市場の中で、“成長領域”としてビール大手が注目するのが「糖質ゼロビール」だ。先行するキリンに挑戦状をたたきつけたサントリーの新商品の売れ行きは思わしくなく、キリンの“独り勝ち”状態が続いている。明暗はなぜ分かれたのか。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

ビール類市場は17年連続前年割れ
キリンvsサントリー「糖質ゼロビール戦争」

 2022年はサントリービールがキリンビールにリベンジを挑む――。

 21年のビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)市場の販売動向が出そろった。ビール類市場全体は前年比5%減(数量ベース)と17年連続で縮小し、依然として苦しい状況が続く。

 大手4社のそれぞれの業績に目を転じても、キリンは数量ベースで前年比4%減、サントリーは同6%減、サッポロビールは同4%減、アサヒビールは同4%減(金額ベース)と、軒並み前年割れを記録している。

 コロナ禍による居酒屋などの業務用市場の不振を、コンビニやスーパーなどの家庭用市場で補えない状況は、20年から何ら変っていない。再起を図りたい22年も足元ではオミクロン株が大流行しており、業務用市場の先行きに暗雲が漂う。

 大手4社から大型新商品が発売される予定は今のところなく、既存商品のリニューアルが中心だ。20年10月の酒税改正で安くなったビール市場も、21年は前年比1%減とビール業界には閉塞感が漂う。

 こんな冷え込んだビール市場に、関係者が熱視線を送る“成長領域”がある。それは糖質ゼロビールだ。

 この市場の主役はキリンとサントリーの2社。そして「糖質ゼロビール戦争」の第1ラウンドは、キリンに軍配が上がった。サントリーは戦略を見直し、22年に反転攻勢をかける構えだ。

 キリンとサントリーの明暗はどこで分かれたのか。