研修成果を高めるのに不可欠な評価制度

「研修で学んだことが定着しない」。そうおっしゃる方は多いのですが、時間がたてば忘れてしまうのは誰もが身に覚えのあるところではないでしょうか。研修後に、上司がフォローすることが大事なのです。もっといえば、研修で学んだことができているかを評価するような仕組みをつくることによって、学びは定着するでしょう。

 私自身は、日本マクドナルドやユニクロでの経験を活かし、企業の教育制度や社内大学をつくるお手伝いをしてきました。詳細は、『全員を戦力にする人財育成術』(ダイヤモンド社刊)を参照していただきたいのですが、人財育成には①基準を示す、②教える、③要求する、④評価する という4つのサイクルを回していくことが重要だと考えています。それを、グローイング・サイクル®と名づけています。

育成のプロが伝授 研修の成果を上げる方法とは?ホスピタリティ&グローイング・ジャパン提供
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 グローイング・サイクル®にあてはめれば、研修は「基準」を示し、「教える」にあたります。研修で学んだ知識や気づきが仕事に活かされ、成長につなげていくにはどうすればいいでしょうか。

 そのためには、研修をやりっぱなしにしないことです。研修で学んだことを実践に活かすように「要求」し、それを「評価」するような仕組みをつくることです。

 研修後のフォローとしてお勧めしたいのは、研修で学んだことを店長(あるいは育成係や上司など)が聞いてあげることです。研修で受けた気づきを言語化することで、頭の中が整理されます。さらに、いっしょにわかりやすい目標を考えるようにするといいでしょう。ただし、話を聞いた後で「それはうちの店では必要ないよ!」などと即座に否定するのはやめましょう。スタッフは何のために研修を受けたのかがわからなくなり、混乱してしまいます。

 また、1か月後なり3か月後なりに、設定した目標が実践できているかをチェックし、評価するようにしましょう。

 重要なのは、目標はできるかぎり具体的なものにすることと、行動変容につながっていると判断したら、それを評価に反映させることです。人財育成には、店長や上司がその人をみてあげている、という姿勢が大事です。評価されることによって、人は成長するのです。

 他方、店長や経営幹部からは、現場で仕事を教えるだけでもたいへんなのに、評価までは手が回らない、という話も聞きます。その負担を軽減するためにはどうすればいいでしょうか。