育成のプロが伝授 研修の成果を上げる方法とは?Photo: Adobe Stock

新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染急拡大や「まん延防止等重点措置」の適用など、外食産業に逆風が吹いている。この危機を乗り切ることと同時に、アフターコロナを見据えた、人手不足への対応も求められている。『全員を戦力にする人財育成術』(ダイヤモンド社刊)の著者で、日本マクドナルドの教育責任者である「ハンバーガー大学」の学長や、「ユニクロ大学」部長などを務めた有本均・ホスピタリティ&グローイング・ジャパン会長は、「今こそ人財育成に本腰を入れるべきだ」と強調する。今回は、教育の代表的存在である”研修”の成果を上げる方法を伝授する。(構成/ダイヤモンド社・大坪稚子)

研修をやりっぱなしにしていないか?

 オミクロン型の感染急拡大や「まん延防止等重点措置」の適用など、外食産業は厳しい環境に置かれていますが、必ずアフターコロナの時代は来ます。需要の揺り戻しにより、外食産業の人手不足が深刻化するともいわれています。

 そうなれば人の取り合いです。コロナ禍で辞めてもらわざるをなかったスタッフが戻ってきてくれるなんてことはきわめてまれでしょう。スタッフ不足のため、予約が受けられなかったり、サービス低下を招く恐れもあります。基準をクリアしている人の応募を待つ余裕はなく、採用した人を一人前に育てて戦力にしていくことが急務となります。

 “人財育成”に教育が重要であることは、多くの人が認識しているところでしょう。現場でのOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)にくわえ、研修に力を入れる企業も増えてきました。

 ところが、研修の効果が長続きしない、という話をしばしば耳にします。研修で学んだことが業務に活かされていないのです。何が問題なのでしょうか。一言で言えば、研修がやりっぱなしになってしまっているのです。