そのスタートは、自身の脳について知り、脳内環境を変えていくことにあります。

 僕が皆さんに提案したいのは、逆境をうまく切り抜けるためのノウハウではありません。もちろん、逆境の中でじっと耐え忍ぶ力でもない。

 むしろ逆境こそ変化のチャンスととらえて、時にはその只中にジャンプ・インするようなやり方を、選択肢の一つとして提案したいのです。

 逆境に対して、小手先の対処をしたり、傲慢にねじ伏せるばかりの解決法をとっていると、必ずと言ってよいほど似たような問題に繰り返し襲われます。

 必要なのは、自分の中の恐れがどこからくるのか、その恐れが何を引き起こしているのか、勇気をもって向き合うこと。すると、恐れは、ブレーキとして作用するのではなく、あなたの一部となり、次へのステップアップを促すアクセルとして機能しだします。

 自分の外側で出会った逆境を、自分の内面の気づきとして落とし込んで、「これにはどんな意味があるのか」と考えられること。変えていく勇気を出すこと。

 それができたら、あなたにとって逆境はむしろダイヤモンドのような輝きを放つギフトになっていくのです。

脳の秘境「逆境トライアングル」とは

 さて、逆境に対面した際には様々な反応が脳内で起きるのですが、逆境という視点から脳を見ていくと、重要な箇所が三つあります。

 扁桃体、海馬、前頭前野です。この三箇所を「逆境トライアングル」と呼ぶことにし、それぞれの役目をざっと説明しておきましょう。