「嫌だから」という理由で避けた仕事を通じて、将来につながる経験が得られたかもしれない。食わず嫌いになりがちな新しい仕事にこそ、今後の人生に必要な武器があるのだ。本稿は、山本大平『嫌な仕事のうまい断り方』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。
目の前の「嫌な仕事」が
将来につながるかもしれない
10年後に何をして働いているのか、そのためにどんなスキルや知識が必要なのかわからないのに、いま、目の前の仕事を「嫌だから」という理由で避けてしまって、大丈夫でしょうか。
もしかすると、その仕事で得た経験が、将来の仕事につながるかもしれません。
極端なことを言えば、その仕事を断った人はそれが原因で、将来、仕事を逃し、断らなかった人は、将来、仕事を得るかもしれないのです。
それでも、嫌な仕事を断る自由はあります。ただ、それが本当に嫌な仕事なのか、嫌なわけではなくて、やったことがないから尻込みしてしまっているのかどうかは、少し冷静に考えてもいいと思うのです。
食わず嫌いという言葉がありますが、仕事にもそれがあると思います。
かつての私にとって、統計分析やデータサイエンスもまさに食わず嫌いでした。
やってみないうちから難しそうだなと思っていたのですが、取り掛かってみると案外と面白く、夢中になるほどでした。
それらが面白いとわかったのは、やってみたからです。
食わず嫌いでいたら、その面白さには一生、気がつくことができなかったでしょう。
それに、食わず嫌いになりやすい仕事とはたいてい、新しい仕事です。
新しい仕事は誰もやったことがないので、当然、その仕事を得意にしている人もいません。だから、上司も誰に頼むのが一番いいか、よくわからないまま声をかけているかもしれません。そうしたときに声をかけてもらえるのは、アンラッキーどころか、白羽の矢が立った状態です。
新しい、自分からはなかなかやってみようと思えない仕事に関われるチャンスです。
一瞬「嫌だな」と思って断りそうになる仕事こそ、将来を変える、運命的な仕事になるかもしれません。
目標設定はいらない
やってみる姿勢が大切
嫌な仕事を将来の武器にするには、断らずに取り組むほかありません。
ただ、どの嫌な仕事が将来の武器になるかは、いまの段階ではわかりません。仕事は受験勉強と違い、タイパで選ぶというわけにはいかないのです。
そして、これも受験勉強と違うところですが、仕事に目標設定は必要ありません。
もちろん、会議までに資料を用意するとか、数字を達成するとか、そういった日々の目標は必要ですし、それに向けた努力も必要です。