ゴルフ場最大手アコーディア・ゴルフが業界2位のPGMホールディングスに仕掛けられた敵対的TOB(株式公開買い付け)が佳境に入っている。アコーディアはTOBへの反対を表明した12月3日、当期純利益の90%を配当するという、捨て身と言える大幅な増配政策を同時に発表した。
アコーディアの鎌田隆介社長は増配政策を「以前から計画していた」というが、異常なほどの高配当がTOB対抗策であるのは間違いない。高配当で釣って株価を引き上げ、TOBを無効にすることを狙ったものだ。
しかし、目論見は外れ、今のところ株価は反応していない。株式市場関係者は「永続的に90%を配当すると言っているが、TOBが成立する可能性が高く、その場合は空手形に終わるため、あまり意味がない」と解説する。
さらなる対抗策として、友好的な買収者となるホワイトナイトも探している。アコーディアのファイナンシャルアドバイザーである大和証券グループが投資ファンドや事業会社などを口説いて回っている。1社でホワイトナイトを名乗り出る救世主は見つかっておらず、現段階では「100億円程度を出資する投資家を複数募り、投資家連合としてホワイトナイトに仕立て上げる構想もある」と金融市場関係者。しかし、投資ファンド関係者は「ゴルフ場は中期的に市場の縮小が予想され、収入の増加は難しい」とし、投資には後ろ向きになりがちだという。
一見するとTOBは成立しそうな情勢だが、PGMのTOBは下限20.0%、上限50.1%という限定的な買収だ。上限を超えた場合は、TOBに申し込んでもすべては購入してもらえない。従って、TOBに応じた株主にも、応募が多すぎて買い取ってもらえなかった株が後に暴落するリスクは残される。
アコーディアの株価はTOB価格8万1000円を下回る7万5000円前後でもみ合い、機関投資家がこぞって買い進んでいる状況ではない。来年1月17日が期限であるTOBの行方は混沌としている。