ゴルフ場運営の最大手2社の経営統合を巡る戦いが、第2ラウンドに入った。業界2位のPGMホールディングスは、同トップのアコーディア・ゴルフに対して株式公開買い付け(TOB)を実施すると15日発表した。統合に積極的なPGMはこれまでも、嫌がるアコーディアにさまざまな働きかけをしてきたが、ついに実力行使に乗り出したのである。敵対的TOBの行方はどうなるのだろうか。

 PGMによるTOBおよび経営統合の提案はやや複雑だ。来年1月17日を期限とする買い付けによって20.0%~50.1%分のアコーディア株を取得し、その後、経営統合を提案するというもの。もしアコーディア経営陣が反対した場合は、役員を入れ替えて統合させるという段取りだ。

 21日時点でのアコーディアの時価総額は759億円、PGMの時価総額は822億円と規模に大きな差はない。アコーディアには大株主がいないのに対して、PGMはパチンコメーカーの平和が80%を保有する大株主だ。現在の状態で2社が経営統合した場合、平和の持ち株比率は下がるものの40%超となり、実質的なオーナーの地位は保てる。一般的にTOBは100%を上限とすることが多いのにもかかわらず、今回は上限が50.1%と中途半端なのは、買収資金を極力抑えたいからだろう。

 ではTOBは成立するのだろうか。

 ある証券会社関係者は、「このままアコーディアが何も手を打たなければ、PGMは狙い通り50.1%を取得できる」と見る。PGMがアコーディアの公開買い付け価格を8万1000円という、前日終値に対して52%ものプレミアを付けた高値に設定したからだ。加えて、アコーディアには大株主がおらず、浮動株が多い。今年4月に起こった前社長の社内経費流用問題などのトラブルで株価が下落したため、早く処分したいと考える株主は多いはずだ。

 ただし、事はすんなりと行かないだろう。

 アコーディアはTOBが提案された15日から10営業日以内、つまり30日までに意見表明しなければならない。すでに20日に、PGMのTOB説明書に対して反論はしたが、正式な意見表明ではなかった。ただ突然のTOB宣言であることと、これまでの経緯を考えると、正式にTOBに反対を表明すると見られる。実際、アコーディアは、着々と反撃の準備を進めている。