社会の環境づくりを

 「ストレスコントロールを徹底しましょう」と言うと、「うつ病患者には会社を辞めてもらいたいので、ストレスコントロールより、そうした人の早期発見方法を教えてください」という答えが返ってきます。この考え方があるかぎり、一向に社会は救われないのです。

 間接喫煙と肺がんの関係を認知させたように、ストレスとストレス連鎖感染の関係を社会に認知させて、強制的に禁煙環境を増やしたように、ストレスコントロールもある程度強制的に社内教育としていかなくてはなりません。

 最近は、うつ病で自殺をした人に労災が認められる事例が出るなど、企業が従業員のメンタル面に配慮をしないと訴訟問題になるという社会的な雰囲気が出来つつありますが、それでもなお、うつ病に対する社会の偏見は根強いものがあります。「仮病なのではないか」「単なる怠け病なのではないか」「医師の診断書は信じらない」といった反応です。

 ストレスから仕事を放棄せざるをえなかった人の分を補うために、残された人が2倍以上のストレスを背負いながら仕事をしていくようでは、ストレスの連鎖感染が続くばかり。いつまでたっても日本の労働者は救われないことになってしまいます。ストレスコントロール教育は、企業の職場環境づくりのひとつと考えてもらいたい。

 その前に、個人でできることとしては、もう一度、ストレスコントロールに利用する3つの力を読み返してみていただきたいと思います。

1.自分が使える資源はすべて利用すること(社会資源の最大利用)
2.自分が持っている権利はあますことなく使うこと(社会支援の選択)
3.個人ネットワークを頼ること(個人ネットワークの活用)

 ストレスで倒れてしまわないために、その後に次のストレス犠牲者を作らないために、3つの力を用意して準備を怠らないようにしてください。