人事という特異なポジション

 まず、企業内で人事担当は特殊なポジションにある。零細企業では採用を経営者が担当することもある通り、経営視点や企業理念に関わる重要なポジションでありつつ、直接的に売り上げに携わるわけでも、具体的な商品開発を担うわけでもない。

 他の部署を経験してから人事担当になるならまだしも、そうでない場合、その会社の経営方針を一から学びながら採用にも携わることになる。

 採用面接とは、人をジャッジする場所である。人事担当でなくても採用面接に駆り出された経験のある人もいるだろうが、気をつけないと「人を選んでいる自分」に特権意識を持ってしまうことがある。一時期は、採用面接で気をつけなければいけないのは「どのように気持ちよく帰ってもらうか」と言われた。不採用にした人も、未来の顧客である可能性があるからだ。

 志望者の多い大企業であるほど、採用面接で不合格になった人にもファンで居続けてもらおうと気を使う。

「まともな企業なら(or自分の勤める企業では)人事担当にこのようなツイートをさせないだろう」という人ごとのような感覚が、人事アカウントの炎上の背景にある。

実名企業系アカウントとそれ以外のギャップ

 日本のツイッターユーザーは、他国と比べて匿名アカウントの比率が高いといわれる。2010年代以前は、実名や顔出しでネットの書き込みをする人の方がまれだった。

 誰もがスマートフォンを持つようになり、YouTuberが人気になり、Facebookやツイッター、TikTok、InstagramといったSNSの流行とともに、インターネットがアンダーグラウンドであるという認識は過去のものとなった。

 ここ数年で実名顔出しで、所属する企業を公開してツイッターで発信するアカウントが増え始めた。その結果、以前から匿名でツイートしていた層とのギャップを感じる。