フェラーリにも先んじていた
2代目NSXだったが……

テストコースにはタイプS(中央)、ベーシックモデル(右)、初代タイプS(左)が並べられたテストコースにはタイプS(中央)、ベーシックモデル(右)、初代タイプS(左)が並べられた

 初代NSXが2005年に姿を消した後、2016年に彗星のごとく現れたのが2代目NSXでした。アルミを主体とする軽量ボディはモノコックからスペースフレーム式に改められましたが、V6エンジンをミッドシップする2シータースポーツカーという位置づけは変わらず。しかも、スポーツカーとしては世界初の3モーター方式のハイブリッドシステムを搭載し、コーナリングでクルマが曲がろうとする力(ヨーモーメント)を駆動力でコントロールするテクノロジーまで装備していました。

 ちなみにフェラーリが2019年に発表したSF90ストラダーレも同様の3モーター式ハイブリッド(ただし、こちらはプラグインハイブリッド)を採用。しかも、その開発風景を捉えた映像にはNSXも映っていたというのですから、ホンダはあのフェラーリにも先んじていたといえるでしょう。

 そんな画期的な存在のNSXでしたが、セールスは振るわず、過去5年間で販売されたのは合計で2500台ほど。2代目NSXのためにアメリカに新設された工場は年間1500台を生産できる能力があったそうなので、期待された利益は上げられなかったと推測されます。そのいっぽうで、世の中には年間2000台くらい売れるスーパースポーツカーもあるので、NSXもしっかりした体制を築けばもっとセールスを伸ばせたはずと私は捉えています。ただし、残念ながらホンダはNSXの生産終了を決定。その最終バージョンとしてNSX タイプSを限定発売したのです。