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今の会社にこのままいてよいのか、将来に不安を感じていませんか?社会構造の変化がもたらす新しい働き方と実際の転職事例から、自分だけの正解となるキャリアを築くヒントをひもときます。

労働供給制約社会がもたらす、
「キャリア自律」の高まり

 リクルートワークス研究所が実施した「2040年の労働市場に対する未来予測シミュレーション」によると、2040年は働き手が約1100万人足りなくなると試算をしています。背景にあるのは人口動態です。

 2044年までは65歳以上の高齢人口が増え続ける一方、15~64歳までの現役世代が2040年まで急激に減少していくことで、日本は労働の担い手となる現役世代の割合が不足する「労働供給制約社会」に直面します。

 産業構造も大きく変化し、サービス業は日本の労働力人口の約7割が携わる規模となり、現在の日本を支える産業となっています。 

 また、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進んだことで、働く時間や場所、取引先や同僚との関係も変化してきています。環境保全に関しても、持続可能性や循環共生が求められる中で、社会の構造が大きく変化しています。

 生産年齢人口(15~64歳)の割合が増加していた1990年代半ばまでの日本では、事業拡大などの継続は確実な状況にあり、企業は経営を一律で行い、働く個人は生活や働き方が一律化する傾向がありました。

 しかし、少子高齢化が進み、生産年齢人口の割合が減少した現在の日本は「非連続不確実」の時代となり、企業は「経営の脱一律化」が求められており、働く側も「働き方の脱一律化」が進んでいます。

 構造的な人材不足はもちろん、個人の職業寿命が企業寿命を上回るようになったことで、日本でも人々は働き方を会社に委ねなくなりました。

 働き方・生き方を決める主権は、企業から個人に移行しています。いまや企業が個人を選ぶ時代ではなく、個人が企業を選ぶ時代へと確実にシフトしているのです。

 個人のキャリア観についても、将来のキャリアはやりがい(仕事の意義)とやりたいこと(仕事の裁量権)を重視し始めるようになったことも大きな変化です。

 コロナ禍を経たことで、特に若い世代を中心にこの傾向は強まったようです。
 
 同じ会社でずっと働き続ける「終身雇用」から、ライフステージに合わせて働き方を変えるキャリア観へと考え方をシフトさせてきています。