「ちっとも代わり映えがしない」と呆れる投資家もいれば、「6年もの歳月をかけた割にはお粗末というしかない」と吐き捨てる証券マンもいる。東京証券取引所が発表した市場再編だ。
医薬経済ONLINE(2021年9月1日号)でも紹介したが、東証は現行の一部、二部とマザーズ、ジャスダックの4市場を、グローバル企業が上場する最上位の「プライム」、中堅企業向けの「スタンダード」、新興・成長企業向けの「グロース」の3市場に再編する。新市場がスタートするのは4月4日だが、1月11日に各企業が割り振られる新市場の所属先を発表した。
ところが、その内容たるや、現行の一部市場に上場する2185社の8割を超える1841社が最上位のプライム市場に横滑りするのである。スタンダード市場に陥落するのは旧第二地銀や受託製造会社、地域限定で活躍する販売会社くらいだ。結果、外国からの投資を呼び込み、経済を活発にしようという触れ込みだったのに、再編の実体はほとんど変わらないではないか、という批判が起こったのである。
実際、製薬業界でも一部市場に上場している製薬会社37社中、35社がプライム市場に移行。医薬品卸も一部市場に上場している大手5社が揃ってプライム市場に移る。医薬品業界でスタンダード市場を選択した製薬会社はわずか2社に過ぎなかった……。