K字決算#17
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コロナ禍の影響で大幸薬品の空間除菌剤「クレベリン」の売り上げが激増し、その裏で風邪薬のトップ製品である大正製薬の「パブロン」は激減した。特集『戦慄のK字決算』(全17回)の最終回は、不況に強いといわれてきた製薬業界に生まれた新たな格差、強さの条件に迫る。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

コロナ禍当初のプチバブル
ただ春の夜の夢のごとし

「あれは何だったのか……」。大衆薬メーカー幹部は1年前の春に訪れたプチバブルを思い出し、ため息をついた。

 新型コロナウイルスの感染拡大が日本でも深刻化した2020年春、ドラッグストアにはマスクを買い求める人々が長蛇の列を成した。外出自粛中の備えや「ついで買い」で大衆薬(OTC医薬品)や衛生用品のさまざまなカテゴリーが飛ぶように売れた。

 ただ春の夜の夢のごとし――。このプチバブルは短くはかなく終わった。1年たった今、カテゴリー別で売れ行きの格差がはっきりと表れた。

 大幸薬品の空間除菌剤「クレベリン」は売れまくった。対して風邪薬で無類の力を誇ってきた大正製薬ホールディングス(HD)の「パブロン」は、売り上げが激減した(詳細は次ページ表参照)。

 もっとも、コロナ終息後までにらんだ優勝劣敗は、足元の勝敗のまま、あるいはコロナ前に戻るといった単純なものにはならないだろう。