海外ETFを購入すると、個人投資家は二重課税される

 海外ETFについては「分配金の外国税額控除の申請」についても知っておく必要があります。ETFが組み入れている株式、たとえばマイクロソフト株を組み入れているとすれば、マイクロソフトが出す配当金についてはアメリカで10%課税されます。

 さらに日本国内の個人投資家がこのETFの分配金を受け取る場合、約20%が課税されます。つまり海外ETFを購入すると、個人投資家は二重課税されることになるわけです。

 この国際的な二重課税を調整するためには「外国税額控除」という制度を使う必要があります。同制度に基づいて確定申告を行うと、一定額を所得税額から差し引くことができ、二重課税の一部について還付を受けることが可能です。

 このような確定申告の手間がかかることは、インデックス投信と比べるとデメリットといえるでしょう。

朝倉智也(あさくら・ともや)
モーニングスター株式会社 代表取締役社長。
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、95年米国イリノイ大学経営学修士号取得(MBA)。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。98年モーニングスター株式会社設立に参画し、2004年より現職。第三者投信評価機関の代表として、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。
主な著書に、『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『つみたてNISAはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『iDeCoで自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。